キャリアの岐路でワーママが選んだ自由に生きる道

今回のお話は、青木麻子さん(仮名)、40歳。業界では一定程度、名の通った大手外資企業で10年働いています。プライベートでは4歳の息子さんのお母さんで、とある地方で暮らしています。
そんな青木さんは、「会社で上に上がるか、外に出るか」というキャリア選択に迫られました。コーチングを通じて、青木さんはどんなキャリア選択をしたのかを伺いました。 (聞き手:CoParents代表・古村)
消去法で浮かんだ「転職」という選択肢
—コーチングを受けようと思われたきっかけを教えてください。
私は過去に何度か転職をしていて、約10年前から今の外資企業で働いています。コーチングを検討し始めたのは、10年ぶりの転職を考え始めたことがきっかけです。
転職エージェントに相談したり、同僚や上司にキャリアの悩みを吐き出したりもしました。しかし、それぞれの人の立場や利害関係があり、皆さんからのアドバイスは中立的ではなかったため、余計迷う原因となりました。
CoParentsで1回目の体験コーチングを受ける前に、一社だけ面接まで進んだのですが、残念ながら落ちてしまいました。振り返ると、自分が根本的に何をしたいのかがわかっていないまま面接に臨んでいたのが落ちてしまった原因ではないか?と感じました。
そこで「プロの方に話を聞いていただこう」と思い、コーチングを探し始めました。
—なぜ転職を考えるようになったのでしょうか?
今の勤務先だと、ある程度のレベルになると、「上に上がるか、外に出るか」の二択になってくるんですよね。同じ職階に長期間ステイし続けるという前例はほとんどありません。
会社からは「今の職階にステイでもいいよ」とは言ってもらえていました。でも、専門家キャリアだと部署異動もなく、職階が上がらなければ同じ仕事を続けるだけになります。それだとつまらないし、あと20年定年まで同じ仕事を続けるイメージは沸かない。とはいえ、上に行くイメージもあまり持てませんでした。
それで、消去法で「じゃあ転職か」という感じになりました。正直なところ、何か積極的にやりたい仕事があったわけではないんです。
—元々コーチングについてご存知だったのですか?
かつて仕事で、コーチングの会社をクライアントとして担当していたことがあったので、コーチングというものの存在は知っていました。
—ワーママ向けコーチングCoParentsを受けようと思われたきっかけを教えてください。
InstagramでCoParents代表の古村さんの発信が目に入ってきました。国際的なバックグラウンドをお持ちで、息子さんの年齢も同じということで強くシンパシーを感じ、体験コーチングを申し込みました。
時間をかけてでもしっかりキャリア選択をしたい
—体験コーチングはどうでしたか?
最初に小林梓沙コーチ(あず)の体験を受けました。あずさんからは、他のコーチとも体験することをお勧め頂きました。しかし、その後に繁忙期に入り、コーチングはおろか、転職の検討もストップしていました。
繁忙期が終わった後、磯山江梨コーチ(えり)と隈部敦子コーチ(くま)の体験を受けました。えりさんには仕事の話を中心に聞いていただき、くまさんには子どもとの向き合い方をテーマに話しました。その時に1番モヤモヤしていたのが仕事のことだったので、その話をじっくり聞いてもらえたえりさんにお願いしようと決め、「鍵を見つける6回コース」に申し込みました。
—お忙しい中で、6回×60分の時間を継続コーチングに割くことを受けることへの抵抗はなかったですか?
体験を受けた時から、コーチングを継続すると決めていました。ただ、6回を半年の有効期限内に消化できるかどうかは不安でしたね。 でも、「現状を打開したい」という気持ちが勝りました。急いで転職を決めるのではなく、現職に留まる選択肢も含めてじっくり考えたいという気持ちもあったので、むしろ時間をかけてやりたいとさえ思っていました。
自分のこと、これからの話。全く言葉を紡げない。
—6回のコーチングはどのような流れで進みましたか?
初回は、私の経歴をお話ししました。私は結構な回数の転職をしていて、過去のそれぞれの転職の理由をえりさんに深掘りしていただきました。
自分ではコロコロ仕事を変えてきたつもりでいました。でも、えりさんから「でも一貫して考え方は変わっていないよね」というフィードバックを頂いたんです。「麻子さんには成長したいというビジョンがあって、そのビジョンにずっと向かってきたんだよね」と。
自分では取り散らかっていると感じていた経歴でしたが、えりさんは「一本の筋が通っている」という見方を示してくれました。私のこれまでを受け入れてもらったような気がして、とても嬉しかったですね。
—えりさんに過去を受容してもらったことで、青木さんもご自身の過去を受け入れることができたように感じました。その後のコーチングでは何をしましたか?
2回目は「内なるリーダー*」や「人生の目的」について、えりさんと話しました。しかし、全く言葉が出てきませんでした。
*自己受容と自己主導に基づく、人の内側にあるリーダーシップのあり方。
というのも、ここ10年くらいは目の前のことを短期的にこなすばかりで、長期的に自分が何をしたいかを、一切考えていなかったんです。「私、止まってしまったな」という感じでした。
—1回目のコーチングで、えりさんから、青木さんには「ずっと成長したい」というビジョンが一貫してあったというフィードバックを受けていましたよね。それでも、この10年くらいは長期的なビジョンが欠落していた感があるということですか?
若い頃は自分が新しい経験や知識を吸収して成長しているという実感を得たい一心で進んでいました。でも、今は育児と家事も回さないといけない。さらに家族の都合で地方に住んでいる。そこは変えられないところです。時間や場所に制約がある中で、自身の成長に全力で注力することができなくなり、第一目的から外れてしまっていたのだと思います。
―現在の家庭環境の中で薄れているものの、引き続き成長を目指したいのか。あるいは今は別のビジョンがあるのか。2回目のコーチングでのワークで全然言葉が紡げなかった中で、この話をどのように考えていったのですか?
自分のあり方や、今後の人生について、私がなかなか言語では答えにくいということにえりさんが気づいて下さいました。そのため、3回目以降のコーチングでは、イメージで考えるアプローチに変えていただきました。コーチングでは毎回、いつも使わない脳のパーツを使っている感覚がありました。とても難しかったですが、えりさんに少しずつ引き出していただきました。
2回目のセッションの最後に、私にとっての「内なるリーダー」、つまり私の内側にあるリーダーシップのあり方はどういう存在か考えて、名前をつける宿題が出ていました。1ヶ月考えて出てきたのが「頑張り屋」という言葉でした。えりさんに、「それをビジュアル化すると?」と問われて、考えて出てきたのが「鳥」のイメージでした。
—「鳥」のイメージはご自身にしっくり来ましたか?
はい。私の中で鳥は「自由の象徴」なんです。振り返ると、ずっと制約を感じてきたんですよね。地方在住なので東京と比べると仕事の選択肢が少ない。子育てがあるから時間的な制約もある。出社前提なら、通勤時間は片道1時間以内の企業に限られる。そういったことが全部重なって、「なんとかしたい。でも変えられない。」という感覚がずっとありました。
コーチングを受ける前も、「自由になりたい」という気持ちを持っていることは漠然と感じていました。しかし、それを「自由」という概念だと思っていなかったんです。コーチングを通じて、鳥というイメージが出てきたことで、「ああ、私は自由に生きたかったんだ」と初めて言語化できた感じがありました。
「自由に生きる」を考え、実践する

—4回目のコーチングはどのように進みましたか?
「あなたの晩年に何について祝福してもらうのか」「人生で最高に輝いていた瞬間はいつか」「温泉のオーナーになってみたら」といった、シミュレーションやストーリーを使って、自分の存在をどう表したいかを考えていきました。
それらのワークから出てきたのが、「私は自由な生き方を後押しする、縄文杉のような存在になりたい」という言葉でした。
—前回に引き続き、イメージで考えることで、少しずつ本音を表現できるようになっている印象を受けます。
そうですね。今回特に印象的だったのが、「過去最高に輝いていた瞬間」を聞かれたときのことです。今の仕事でもそれなりの実績を積んできた自負はあったのに、真っ先に浮かんだのは現職ではなく、かつて海外で、小さい企業の中で自分の存在意義を感じながら、言語と文化の壁を超えて仕事をしていた時のことでした。
今の会社の仕組みの中で今の職階までは上を目指してやってきていたたので、「あれ、今の仕事じゃないんだ…」と気づいた時は、結構驚きましたね。現職はそれなりの大企業でブランドを背負って働いている自負がありました。また、10年のキャリアを積んだことで専門職である自覚を持って働いてました。
しかし、会社のブランドや専門家としての肩書きよりも、個人として周りの人に直接役立っている実感が得られることや、日々成長実感が得られることの方が自分にとって大切だったんだなと思いました。目の前のことに必死でいると、なかなか気づけないポイントでした。
—ご自身なりに「自由に生きる」という理想を理解されつつある中で、その次の5回目のコーチングはいかがでした?
4回目のセッションの最後に、「周りの方の自由な生き方を後押しするアクションを取ってみてください」という宿題が出ました。自分の子どもに対して試してみたのですが、4歳児の「自由」はどこまでも広がってしまって(笑)。「どこまでが後押しで、どこからが放任か」の線引きがとても難しかったです。
5回目でえりさんに報告すると、えりさんからは「情報を選択肢という形で相手に渡すことが、自由を後押しする一つのやり方かもしれない」というアドバイスをいただきました。例えば、子どもの好きなものがある時に、無制限に好き放題やらせるのではなく、守るべきルールを教えた上で選択肢としてその好きなものに触れる方法を複数提示する。もう少し一般論化すると、選択肢として提示できる引き出しを持っておくということですね。
そしてその話から、「人に自由な生き方を後押しする前に、まず自分が自由に生きるとはどういうことかを考えてみよう」という方向に話が展開していきました。人の自由を後押しするだけではなく、自分でも自由を体現できる人になりたいと思いました。
—「自由に生きる」ことについて、ご自身の中で何か答えが見えてきましたか?
最初は全く軸がなかったです。周りから「教育費はかかるんだから年収が下がる転職は嫌でしょ」「専門的な仕事をしてるんだから外に出たらもったいない」と言われると、そうだなと思ってしまっていたんです。
でも、自由について考える中で、「ある程度の幅がある状態が、自分にとっての自由だ」という感覚が出てきました。
いくつかの選択肢があって、その中から自分で選んでいる、と自分で納得できる状態が、私にとっては「自由に生きている」という実感につながるんじゃないかと。逆に言えば、選択肢が一つしかない状態では、たとえそれを選んでいたとしても多分私は自由とは感じられず、窮屈になってしまう。
この気づきはコーチングを通じて初めて言葉にできたことでした。
―6回目の最後のセッションはどのような内容でしたか?
「自由な鳥として生きるために、Yesということと、Noということを決める」という時間でした。Yesは、好きなことを好きと言う、しなやかな体を作るために筋トレとヨガを続ける、の2つ。Noは、脳に詰め込みすぎるのをやめる、と頑張って気力でなんとかしようとするのをやめる、にしました。
「詰め込みすぎない」「気合いで乗り越えようとしない」という決断には理由があります。時間的な余白がないと、自由を感じる余地そのものがなくなってしまうからです。選ぶ自由を持つためには、まず自分の時間と心の余白が必要だということに気づきました。ちなみにその流れで、家事の時短のためにホットクックも買いました(笑)。
また、自分が「自由に生きている」ということを日々の中で思い出せるよう、鳥モチーフの文房具を買おうと決めました。目に見える形で自由のシンボルを持っておくというのが、最後のセッションの締めくくりでした。
コーチングがキャリアの決断に与えた影響

—コーチングを受けながらの転職活動はどのように進んだのですか?
コーチングと並行しながら転職活動を進め、とある事業会社のバックオフィス系の仕事に転職することが決まりました。
※インタビュー時は現職の外資企業での有給消化中
—おめでとうございます。なぜそのポジションを選んだのですか?
「自由に生きるために、選択肢の幅を広げる」という価値観に紐づいた判断です。これまで従事していた専門分野だけだと、今後もし転職をするとしても、行ける可能性があるのは前職の外資企業の競合か、その専門職を職種として置いている大手事業会社に限られます。そして、私が住んでいる地方ではそのような大手事業会社はほぼない。
でも、事業会社のバックオフィスのポジションで今よりもう少し幅広い業務を経験しておけば、あと20数年あるキャリア人生で「選ぶ自由」が得られる可能性が高いと思いました。
実はコーチング前の転職活動で事業会社のバックオフィス系のポジションに応募したところ、「その狭い専門分野だと、転職は厳しい」と言われていたんです。だから、まず規模の小さい会社であっても、今の専門分野の周辺分野も含め、幅広い経験を積める会社を選ぶことにしました。
年収は下がりますし、前職の引き止めにも遭いました。でも、コーチングを通じて「年収よりも経験の幅を広げること」が今の自分のプライオリティだとはっきりわかっていたので、ぶれませんでした。
—コーチングで印象に残っているえりさんの言葉はありますか?
転職先の面接を受けている途中のセッションで、「企業文化も全然違いそうだし、正直ワクワクするんですよね」と話したら、「そのワクワクは大事にした方がいいよ」と言ってくださって。
「今の仕事でもワクワクはしないけど、続けるのもありですかね?」と聞いたら、「本当にそれでいいんですか?」と何度も返してくださいました。 「ワクワクを大事にする」って、口で言うのは簡単でも、現実社会ではなかなかそれだけで動けないじゃないですか。だからこそ、あの言葉は本当によく覚えています。
もう、ぶれない。
—6回を通じて、1番変わったことは何ですか?
自分の軸が定まったこと、そして周りに何を言われてもぶれなくなったことです。「年収が下がるでしょ」「専門性を捨てるの?」と言われても、自分の軸が見えているから動じない。この感覚は、コーチングを受ける前にはありませんでした。
「条件面ではなく、やりたいことを重視する」というのが今の自分の軸です。それは「自由に生きる」ということが具体的な形をとったものだと思っています。
—最後に、どんな方にコーチングを勧めたいですか?
短期的なことに追われて、長期的なゴールが見えていない人に勧めたいですね。性別や子育ての有無に関わらず、なんとなくモヤモヤしている人には特にです。
私自身、「転職したい気がするけど何がしたいかわからない」という状態から始まりましたが、コーチングのプロセスを通じてだんだん言葉が出てくるようになりました。 最初はうまく答えられなくていい。その「うまく答えられない」状態から一緒に探ってくれるのがコーチングなんだと思います。
おわりに
青木さんは、やりたいことがない、わからないという中で、消去的に転職活動を始めました。しかし、コーチングを通じて「自由に生きる=選択肢の幅を持つこと」という軸を見つけました。そして、年収よりもキャリアの幅を優先するという決断で、新しいキャリアへと踏み出されました。
目の前のことに精一杯なワーママの「長期的な自分の軸」を一緒に探すこと。それが私たちCoParentsにできることです。 青木さんのように、自分で納得して選択する人生・キャリアを望むワーママさんは、ぜひ体験コーチングからお試しください。
青木麻子さん(仮名)
40歳。とある文系専門職のキャリアを積み、大手外資企業にてバックオフィス部門へのアドバイザーとして約10年勤務。その後、CoParentsのコーチングを経て事業会社へ転職。夫と4歳の息子さんと暮らす。

磯山 江梨 (青木さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
グラフィックデザイナーを経て日系ベンチャー企業で約15年勤務。広報/PRを経て、現在は時短社員として人事に従事。プライベートでは小2の息子の母。息子との限られた時間と仕事とのバランスを模索しながら楽しくやっている。
出産・育休復帰後に仕事と育児の両立でパンクし、うつで休職。
復帰後も人との関わり方に悩み、ライフスキルとしてコーチングを学び始め、生きるエネルギーを取り戻す。
現在は人事業務と並行して、社内外でコーチングを提供するほか、地域へのコーチング啓蒙活動などにもマイペースで関わりながら「今しか体験できない子育て期を満喫する」をモットーに暮らしている。
