仕事も、子育ても、何もできない私

池永桃香さん(仮名)、38歳は、3歳と2歳の年子を育てるワーママです。美容メーカーで営業職として働いてきた、根っからの仕事人間でした。
でも、育休明けは仕事のモチベーションが上がらない。仕事の後は毎日子どもに怒鳴り散らしてしまう。その後に自分自身も泣いてしまう。でも、晩御飯はできていない。
私は仕事もできない、家事もできない、子育てもできない。キャパオーバーになった池永さんはCoParentsのコーチングを受け始めました。一体どんな変化を遂げられたのでしょうか?(聞き手:CoParents代表・古村)
仕事人間だったのに、育休明けに仕事へのやる気を喪失
── コーチングを受けようと思ったきっかけは何でしたか?
私は美容メーカーで営業職をしていました。販促やマーケティングがメインで、出張も多かったです。
子どもを年子で2人産み、2年半の育休後にその美容メーカーに復職しました。しかし、育休明けの仕事や生活が、私が思い描いていたものと全然違ったんです。
元々の私は、仕事人間だったんです。「専業主婦はつまらそう。キャリアも続けながら、子育てもして、会社員と専業主婦のいいとこ取りしたい」と思っていました。だから、出産の仕事への影響を最小限にするために、年子で2人産んで、育休を1回にまとめたんです。
でも育休明けに復職したら、以前のように仕事に熱中できなくなってしまいました。
── 育休明けは具体的にどんな状態になったんですか?
「絶対に売上目標を達成するぞ!」という気持ちになれなくて、「そこそこでいいや」という感じになっていました。
上司は、産前のバリバリ働く私を知っているので、産後も同様の仕事を期待していたと思います。だから「前はもっとやれていたよね?」と言われることもありました。その上司は女性で、子どもがいて、役員まで昇進しているんです。ご自身と私を比較して、思うところもあったと思います。
家庭では、毎日子どもに怒鳴り散らしていて、「早く!早く!」しか言っていないような状態でした。お迎えに行っても仕事のストレスを抱えたまま。帰ってもご飯がなくて、料理をしないといけない。ずっとイライラしていて、子どもに怒鳴った後に私が泣くという、わけのわからない状態でしたね。
そんな状態で、育休明けにキャパオーバーになって、どうにかしたいと思ったんです。
超育メンの夫。なのになぜうまく両立できないの?

── 配偶者の方は忙しくて、ワンオペ状態だったのでしょうか?
いいえ。夫はとても家庭運営に協力的です。日本のワーパパランキング上位に入ると言っても過言じゃないくらい、素晴らしいパパなんです。まぁ、何かあったらママになる部分は多いですけどね…。子どもをパパが病院に連れて行っても、なぜかママがもう1回連れて行くよう病院に言われたりとか。
とはいえ、「夫がこれだけ協力的なのに、なぜ何もうまくいかないの?」と落ち込んでいました。「こんなに周りに恵まれているのに、なぜ両立できないんだろう」と自己評価が低くなっていました。
── そんな中で、どのようにコーチングにたどり着いたのですか?
海外に住む友人が、子育てに関するコーチングを勉強しているとSNSで発信していたので、コーチングというものは知っていました。でも、「コーチングのために時間を取るなんて、既にキャパオーバーだから無理。」「コーチングなんて自分には必要ない。本を読んで似たようなことをインプットすれば事足りる。」と思って、友人に勧められても断っていたんです。
そんな時にCoParentsのInstagramを見て、投稿内容が心に刺さりました。仕事と子育てについて、私が感じている悩みがそのまま書かれていたんです。「どこかで私のことを見てたの?」とびっくりしましたね。
周りの友達とはなかなか深い話ができていなかったんです。友達もパート勤務や専業主婦など、状況もバラバラだし、価値観もみんな違います。そもそも友達とゆっくり話す時間もないですし。
でも、CoParentsの投稿を読んで、「私と同じように悩んでいる人がいるんだ。CoParentsならわかってもらえるかも」と思って、藁にもすがる思いで体験を受けてみることにしました。
あまりに贅沢な時間。衝撃的だった体験コーチング
── 体験コーチングで隈部敦子コーチ(くまさん)を選んだのはなぜですか?
プロフィールを見て「包容力がありそう、優しそう」という印象だったのが最初の理由です。それに、くまさんも仕事と子育てをしているので、私の気持ちをわかってもらえるかなと思いました。
あと、くまさんが藤井風のファンだと書いてあったのもポイントでした。藤井風が好きな人に悪い人はいませんから(笑)
── 実際に体験コーチングを受けてみて、いかがでしたか?
衝撃的でした。こんなにも自分の話だけを、見栄も張らず、いい顔もせずに話せるんだって。自分の汚い部分、嫌な部分、情けない部分をそのまま話せる時間というのが、人生で初めての体験でした。
普段、知人に相談する時、「この人は今どう思っているかな」「私ばかり話し過ぎじゃないかな」と相手の気持ちを気にしながら話してしまうんです。専業主婦の友人にはキャリアの話をしづらいし、キャリアウーマンの友人には弱音を吐きづらい。営業職だったこともあり、常に言葉のチョイスや、自分の見え方を気にして、考え過ぎていたのかもしれません。
でも、コーチングでは、話し相手のコーチと私の間には何の利害関係もありません。コーチは私にだけ矢印をずっと向けてくれる。そんな贅沢な時間があっていいんだと感動しました。
また、くまさんと話していると、誘導されているわけでも、アドバイスされているわけでもないのに、勝手に自分が喋って、勝手に新しい自分が出てくる。「あ、問題はこれだったかも」と自分で気づいたりする。その感覚が不思議で、続けた先に何か見えそうだと思いました。
くまさんの体験コーチングを受けてみて、自分の軸を知りたいと思うようになりました。当時、仕事と子育ての両立が上手くいかなさ過ぎて、仕事を辞める選択肢も検討していました。
でも、私は本当に辞めたいのかわからず、周囲に相談したら「仕事を辞めるのはもったいない」と言われそうで。友達には「あなたは頑張り屋さん過ぎるんだよ」と言われる。もう頭の中がしっちゃかめっちゃかでした。
だから、自分の軸を知って、仕事を頑張ることをやめるべきか整理したいと思いました。それでコーチングを継続することにしました。
自分を縛っていたのは自分だった

── 継続コーチングは、どのように進んでいったのですか?
私は「鍵を見つける6回コース」を申し込みました。現在は、6回コースを終了して、メンテナンス3回コースで追加継続中です(※インタビュー当時)
くまさんと話して、コーチングでの目標を「自分の軸を知ること。自分らしさを見つけること」に設定しました。
前半のセッションでは、コーチングとはどういうものかを理解しながら、自分のことを曝け出していました。
最初の方でくまさんが「桃香さんとお話する上で、気を付けることはありますか?」と聞いてくれました。私はいい顔をしたり、わかったふりをしやすいこと。相手の顔色を伺って、話をまとめようとしがちだという、私が陥りやすい傾向をくまさんに共有しました。
あと、くまさんから「コーチングでは答えを渡しません。自分で見つけるものです」と言われた時はショックでした。「え、教えてくれないの!?」とガーンとしましたが(笑)、そこから自分の気持ちに本当に向き合うようになった気がします。
その後のセッションでは、色々なワークをしましたが、毎回私が色々話して、フィードバックをもらったり、話を深掘りしてもらうという感じで進んでいきましたね。
── 印象に残っているくまさんのフィードバックはありましたか?
毎回大きな気付きが3つずつくらいありました。今振り返って、一番にパッと出てくるのは、自分のことを「こういうところがダメで、こういうところが苦手で」と話したときのことです。くまさんに「桃香さんはご自身のことをそう思われているんですね」と言われて、はっとしたんです。
私は自分がダメな人間だと「事実として」思っていた。でも「あなたがそう思っているんですね」と言われた瞬間に、「あ、これは私の自己評価にすぎないんだ」とわかったんです。私の思い込みがいかに強かったかに気づきました。
それから、私は「自分の軸を持っていること=頑なであること」と思っている節がありました。でも、くまさんとの会話を通じて、この考え方も崩れました。
くまさんに、「軸ってもっとしなやかなものでもOKなんですよ」と言われた時に、「しなやかな強さの軸もいいな」と思えたんです。自分の軸を見つけるという目標の根本への理解が深まった気がしました。
自分を縛っていたのは自分だったんだなと思います。自分には話す力がない。自分は何もできない。自分の軸は石のように硬くなければいけない。ああでなければならない。こうでなければならない。全部自分が勝手に作り上げた思い込みだったんですよね。
── 「自分を縛っていたのは自分」という気付きに繋がったコーチの言葉はありますか?
私が「こうしないといけない」とか、「私は仕事も子育ても上手にできない」みたいな発言をした時に、くまさんが「それって誰かに言われたの?」と聞いたんです。
「あ、私が勝手に思っていただけだったな」と思いました。職場では仕事について厳しいことを言われることもありますが、夫や周囲からは「仕事も子育てもよくやってる」と言われることの方が多いですし…
── 池永さんがそう思い込むようになったのはなぜでしょうか?その背景について、くまさんと掘り下げましたか?
はい。私は完璧主義であること、その背景には、家庭環境が影響しているのではないかという話をくまさんとしました。
私が小さいころ、テストで93点とっても「もっと上がいるよ」と言われていました。
それがあってか、成績も運動神経も良かったのに、ずっと「できていない」と思って生きてきた気がします。それが今も続いているんだなとわかりました。
自己評価が低い、という私の考え方の根っこがわかったことは、とても大きな気づきでした。
利害関係のない第3者と話して自分で決めた退職
── コーチングを受け始めた時、仕事を辞めることも視野に入れていましたよね。
コーチングを受け始めて3ヶ月ほどで、退職することを決意しました。今は夫が経営する会社を手伝っています。
コーチングの最初の方のセッションで、仕事と育児についての不満や気持ちをくまさんにひたすら聞いてもらっていたんです。「仕事を続ける選択肢もあるよね」という話も出たのですが、その時に私は「もう私はキャパオーバーなんです」という素直な気持ちをくまさんに話すことができました。
会社の人には「辞めないで」と言われました。でも、くまさんは、「続ける選択肢もあるし、やめる選択肢もある」とフラットに選択肢を出してくれました。
くまさんと話すのは、友人や親、夫と話すのとは全く違う感覚でした。利害関係のない第三者であるくまさんがフラットに選択肢を出してくれたとき、自分の本当の答えが出てきたんです。「あ、私、やめたいんだ」と。
コーチングを通じて、自分で向き合う時間をもらえたことで、「もう限界だ」という自分の本音に、初めて素直に気づけたんだと思います。
── 勇気のある決断だったと思います。後悔はありませんか?
コーチングの最初の方で、くまさんから「コーチングでは答えを渡しません。自分で見つけるものです」と言われた時は戸惑いました。
でも、退職について自分で決めたという感覚があり、すっきりしています。誰かのせいにするのではなく、自分でオーナーシップを持って決断できた。だから今はハッピーです。
また、くまさんの伴走のおかげで、「世の中ではこれが正しいだろう」という、べき論ではなく、「私はこうありたい」をベースに意思決定できたと思います。
退職は通過点に過ぎなかった
── 退職後に変化や気付きはありましたか?
子どもに怒る回数が減りました!仕事をやめて余裕ができたことが大きいですね。
それまで、他の人に「子育てはいつか終わるものだから」と言われた時、イライラしていました。でも、自分自身で、「子育ての時間は有限なんだ」と気付いた時、子どもに自然と優しくなれました。
また、仕事をしていた頃、「ネイルに行きたいのに行けない」「手の込んだ料理を作りたいのに作れない」「子どもともっと関わりたいのに関われない」という「やりたいのにできない」リストをずっと抱えていたんです。
でも、実際に時間の余裕ができてみると、その「やりたいのにできない」リストの内容をあんまりしたくないんですよね。麴料理とか作りたいと思ってたんですよ。でも、「私、麹料理なんて作りたくない!」ってなっちゃいました(笑)
くまさんにその話をすると、「それは本当にやりたいことではなかったのでは?」と言われました。SNSで見た「丁寧な暮らしのママ」という、作られた理想像が脳内に入り込んで、「私もそうしなきゃ」と思い込んでいたんでしょうね。「これをやりたい」ではなく、「これをやっていたら良いママになれる」という感じ。
仕事を続けていたら、「やりたいのにできない」で終わって、「良いママになれない」という罪悪感を抱えて一生を終えていたかもしれません。でも、仕事をやめて、時間ができた今、ようやく本当にやりたいことと、やるべきと思い込んでいたことの区別が少しずつついてきました。
──退職した 現在もコーチングを継続されていますが、今のくまさんとのセッションはどのような感じですか?
今は仕事を辞めて、新たなスタートのための整理期間です。まだ「これが正解です!」とは言えないけれど、くまさんと一緒に話しながら、自分のやりたいことを見極めていっている段階です。今後は専業主婦になるか、夫の仕事を手伝うか、自分で何か新しいことを始めるか、3つの選択肢を考えています。
自分がどうありたいか、どうしたいかについては、まだごちゃごちゃした状態が続いています。でも、自分の軸については100%分かったとはまだ言えないものの、「自分がこれは嫌だ、これが不快だ」という感覚はだいぶはっきりしてきました。
コーチングを通じて、「自分と向き合うというのはずっと続いていくものなんだ」と思うようになりました。答えが一発で出るものじゃないんだなと。
── コーチングの卒業はいつ頃と考えていますか?
今はまだまだくまさんの存在が必要な段階で、くまさんに頼っている部分があります。やっぱり38年間で染み付いた、「私はあれもこれもできない!」という自己評価の低さや、完璧主義は根強いです。
こうした自分の思考の癖を客観的に理解して、コントロールできるようになった時、そして自分の本当にやりたいことを整理して走り出せたとき、そこで一度区切りをつけられるかなと思っています。新たなスタートを切って走り出すのをくまさんに見届けてほしいなと思います。
── 最後に、コーチングを勧めたいのはどんな方ですか?
以前の私みたいな人です(笑)。「コーチングなんて自分には必要ない」「自分で考えられる」「人に頼るのは悪いこと」「目に見えないものにお金をかけるのは……」と思っている人ですね。
私もそう思っていたし、だからこそ友人のコーチングの勧めを何度も断っていました。でも、今回初めて無形のものにお金を投資しました。
CoParentsのコーチングを受けてみて思ったのは、コーチングは人生で最も投資すべきものだということです。服を買うよりも何よりもお金をかけるべきです。一生付き合う自分を理解できて、大切にする方法がわかるなら、すっごくコスパが良いと思いませんか?
──自分自身を大切にするための投資として、会社員ワーママさんにもっとコーチングが理解されたらなと思います。池永さん、貴重なお話をありがとうございました!
リセットと再スタート
仕事と子育てでキャパオーバーになっていた池永さんは、ご自身を縛っていた「こうしなければならない」の鎧を少しずつ剥いでいっている途中です。その過程で、一旦仕事を辞め、これからどう生きていくかを日々様々な実践をしながら現在進行形で考えています。
良きママであるためのべき論。完璧主義。自己評価の低さ。様々な鎧を脱いでいった先に、池永さんにはどんな未来が待っているのか、ワクワクしますね。
CoParentsでは池永さんのように、会社員、母、妻としての役割を果たすのに一生懸命過ぎて、苦しくなって進めなくなっているワーママさんに、人生のオーナーシップを持ち直すための伴走をさせていただきます。
池永桃香さん(仮名):38歳。美容メーカーの営業職を経て退職。3歳と2歳の年子を育てながら、配偶者が経営する会社を手伝う。(※インタビュー当時)

隈部 敦子 (福岡さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
大学卒業後、大手総合食品メーカーで20数年勤務。事業企画・マーケティング・賞伝部門に従事。
プライベートでは高校3年の息子、中学2年の娘と忙しくもにぎやかな毎日を過ごしている。
コーチングとの出会いは子育ての悩みから。仕事・子育てにいっぱいいっぱいですべてが中途半端・・・
一体何のために生きているんだろうという中でコーチングを体験し、人生が大きく変わったと感じている。
