人生の足枷だったもの

木村直美さん(仮名)は、ここ数年、怒涛の環境変化の大波の中にいました。出産後、配偶者の方の海外転勤へ帯同。配偶者の方の現地での任期が不透明な中で、お子さんを抱えて現地の大学院に進学します。
「人生の北極星を描きたい。それがないとこの人生の中で立っていられない。」
そんな思いから始めたコーチングでしたが、9回のコーチングセッションの前後で、「何がしたいか?」は全く変わらなかったんです。でも、木村さんの内面では、とても大きな変化が起きていました。
海外にお住まいで人生やキャリアについてモヤモヤしているワーママさん、そして、どこに住んでいるか関係なく、ちょっと自信がないすべてのワーママさんに響く木村さんのエピソード、ぜひお読みください。(聞き手:CoParents代表・古村)
妊娠、出産、育休、海外帯同、大学院進学。人生の北極星がないと耐えられない。
— 木村さん、お久しぶりです。私は今日このインタビューでお話を伺えるのを本当に楽しみにしていました。
私もです!こんな形で改めてお話できることがとても嬉しいです。
— 木村さんはCoParentsが法人化する前に行った、コーチングの実証事業に参加して下さいました。その時はまだ妊娠中でしたよね。
そうですね。あの時お腹にいた息子は3歳になりました。
— 時が過ぎるのは本当に速い…つもる話はありますが、まずは改めて、これまでのキャリアと、現在の状況を教えていただけますか?
金融関連サービス企業の総合職として、産休・育休に入るまで約10年間勤務していました。息子を出産して育休に入りました。息子を産んで数ヶ月ほどで、夫の赴任先であるとある海外都市に引っ越し、今は現地の大学院の修士課程に通っています。大学院受験は出産後数ヶ月という慌ただしい時期に集中して行いました。夫も含め、家族総動員で乗り越えた感じです。
—木村さんがこのタイミングでコーチングを受けようと思われたきっかけは、どのようなことでしたか?
人生の「北極星」を描きたかったんです。子どもができて、キャリアを一旦離れて海外に来て、大学院に来てと、環境変化が目まぐるしい中で、北極星になるものがないとやってられないと思いました。
私の母はキャリアウーマンで、以前から子供が生まれたら自分の母親のようになりたいと思っていました。今でも母とは仲良しですしね。しかし、子どもを産んでみると、「自分は母親とは別の人間だし、やりたいことも得意なことも違う。でも、『じゃあ私はどうしたいのか』がわからない」という状態になってしまって。そのあたりをちゃんと整理したかったんです。
一方で、海外に来てから最初の1年余りは、夫の赴任期間がどうなるかわからない状態でした。しかし、当面の間この国にいることが決まりました。不確実性が1つ減った中で、私自身も、この国にいる間にもキャリアに復帰したいと思うようになりました。その方向性を見定める意味でも人生の北極星が必要。「今こそコーチングを受けるべきタイミングだ」と思いました。
— CoParentsを知ったきっかけと、浅井種美コーチ(タミー)でコーチングで継続した理由を教えてください。
夫が所属するコミュニティでCoParentsの実証事業の告知があったようで、夫が「こんなのあるよ」と私に教えてくれたんです。実証事業の体験サービスに参加させていただいてから、「いつかコーチングが必要なタイミングが来たら、ここに行こう」とずっと決めていました。
だから、CoParentsの発信はよく見ていたんです。その中で、新しいコーチが参画したというお知らせがありました。それがタミーさんでした。タミーさんのプロフィールに「過度に何かを頑張るよりも、今すでにあなたに宿っている強さを信じて、大切に育んでほしい」というメッセージがありました。そのメッセージにキラリと光るものを感じたんです。
あと、タミーさんは私の母より年下ですが、私の母もワーキングマザーで、バックグラウンドがちょっと似ているなと思ったんです。母のことは大好きですが、家族に言えないことってあるじゃないですか。心配かけたくないし、とか。だから、母に似ているけれど、違う関係の方っていうのがいいなと思いました。
そういう理由で、タミーさんに体験をお願いしました。そして、コーチングをやると決めていたので、そのまま継続しました。
私の邪魔をしていたのは、自分を責める私自身だった

— 継続セッションはどのように進んでいきましたか?
私は「問題を解決する9回コース」にしました。先ほども話した通り、母を尊敬しているけど、母と自分は別の人間だと気付いた時に、「じゃあ私はどうなりたい?」がわからなくなりました。それと同時に、新卒から勤めていた会社から離れた今、キャリアを再構築したいという思いもありました。だから、タミーさんには、「自分がどうなりたいかを見つけるための伴走」をリクエストしました。
継続セッションは大きく前半と後半に分かれていたように思います。
前半は、思考の癖を取ることにフォーカスしました。後半は、「知的好奇心」や「知性」がキーワードになり、キーワードにまつわる思いをブラッシュアップしてきました。
— 前半で向き合った「思考の癖」というのは、どのようなものでしたか?
コーチングを始めた頃、すごい罪悪感を抱えていたんです。夫と息子に対して「色々できていない」という感覚がありました。
大学院のコミュニティでも、私と同じ年代のママ学生達がいて、彼女達の家庭を見ても、自分ができていない気がしたんです。私は大したことをしていないのに疲れている。子供との時間も楽しめていない。フルタイムで仕事をしてお金を稼いでいる夫の方が元気に息子と遊んでいる。
人と比べて落ち込んで、罪悪感があって、とても疲れているという状態でした。そして、何か悪いことが起きるとすぐに「自分のせいだ」と自責してしまう自分がいました。
—タミーさんとのコーチングでは、罪悪感や自責傾向といったご自身の思考の癖とどのように向き合ったのでしょうか?
私の思考の癖の根っこを掘り下げていくと、小学校時代の経験に辿り着きました。私は帰国子女でした。帰国後に入った学校が自分には合わなくて、ソフトないじめのようなこともありました。朝登校したら急にみんなから無視されているとか……。そういう状況をどうにもできない中で、「もしかして自分の言動が何か変だからかも」と思っていました。
そんな話をすると、タミーさんに「あなたは、その時の自分の身に降り注いだことを、自分のせいだと思っているんだね」と言われました。その瞬間、初めてその小学校の頃の自分を切り離した別の人として俯瞰することができました。あの頃の私を、環境になじめないのは自分のせいだと落ち込んでいる私を、今の私が抱きしめてあげたいと思いました。これは今思い返すだけでも、ちょっと涙が出てきてしまうくらい大きな気づきでした。
— その気づきは、その後のセッションにどう影響しましたか?
これまでも私自身に自責傾向があることは薄々感じていました。でも明確に自覚していたわけではないし、小学校の頃の経験が根っこにあるとは夢にも思っていませんでした。「ああ、自分はあの頃からずっと自分のせいにしがちだったんだ」とわかること自体で、ずいぶん安心できました。
また、自分を責める思考が、純粋に自分が好きなこと、やりたいことを探索して、追求することの足枷になっていたと思います。自責傾向を俯瞰できたことで、人生の北極星を見つける土台ができたように思います。
自分が追求したいことを言えなかった
— 後半は「知的好奇心」がキーワードになっていったとのことですが、具体的にはどういうことでしょうか?
私の人生の目標として、実は最初のセッションからすでに「知的好奇心」「知性」という2つのキーワードが出ていました。でも、自信を持って「知性を大事にしたい」と表明するのが怖かったんです。
私がいた会社には優秀な人が多かったんです。また、通っている修士課程の同級生も賢い人ばかり。そんな環境で、「知的好奇心を大事にしたい」と言ったら、「じゃあよっぽど頭がいいんでしょうね」とか「そう言っている割には賢くないね」とか言われないかなと不安でした。
—人生で追求していきたいものとして、知性や知的好奇心というテーマは最初からあったのですね。
そうなんです。コーチングの最初の方で、タミーさんと過去の人生で起きた重要なイベントを振り返ったことがありました。私は本が好きな子どもでした。周囲で起こる色々なことについて、「なんで?」と考えるのが好きでした。あと、両親が共働きで、食卓ではビジネスの話が多く、「私もわかるようになって会話に入りたい」という気持ちがありました。過去を振り返っても、知的好奇心は私にとって重要なものでした。
でも、「知的好奇心を追求するのも大事だけど、家族や自分の健康も大事だしなぁ」という気持ちもありました。あと、知性・知的好奇心を大事にしたい、だから何?という感じで、どうまとめて考えたらいいかもわからず。…と色々あるのですが、今振り返ると、結局は自信がなくて、自分自身の興味や大事にしたいことを認めて言い切ることができなかったと、いうことだと思います。
— ご自身の好きなこと、興味のあることを言えないという状態から、どのように変わっていったのでしょうか?
思考の癖と向き合う前半のプロセスが活きました。自責の念や恐れといった邪魔なものが少しずつ取り除かれていった。その中で残ったのが、知的好奇心だった。「これは本当に私が大切に感じていることだ」という確信に変わっていったんです。
あと、タミーさんが私の表情に対するフィードバックをたくさんくれたことも大きかったです。「今すごく輝いてる」とか「今少し表情が暗くなった」とか。言葉だけじゃなくて、そういう形でも自分の本音に気づかせてもらっていました。
タミーさんが私によく、「しなやかさや強さを感じる」と言ってくれていました。これも大きいことでした。私は自分が強いと思ったことはありませんでした。「こんなに疲れていて、体力もないのに、どこが強いんだろう?」と不思議でした。でも、タミーさんが私を励まそうとして無理に言っているわけじゃないというのは、それまでのやり取りでできた信頼関係もあり、直感でわかっていました。「タミーさんが言うなら、私ってしなやかで強いのかもしれない」と、少しずつ受け止めることができて、自己認識が少しずつ変わっていきました。
北極星は初めから見つかっていた。でも足枷があった。

— 最終的に、コーチングの目的だった「人生の北極星」はどんな形になりましたか?
「知的好奇心をドライバーにしながら、自分と家族の心身の健康を土台として、私も夫も息子もそれぞれ自由に、お互いを励ましながら前に進んでいく」というものになりました。
— その北極星の言語化に至るまでのタミーさんとのやりとりで、印象的なものはありましたか?
「古い燃料と新しい燃料」という言葉が印象に残っています。子供が生まれる前まで、私のモチベーションは「これをしないと失敗する」「ここで頑張らないと欲しいものが手に入らない」という不安や危機感でした。これが古い燃料です。
タミーさんと、「古い燃料を新しい燃料に入れ替えたい」という話をしました。そして、知的好奇心を追求することが「ただ楽しくて好き」という気持ちが、新しい燃料になっていきました。
–-コーチング前半で向き合われた自分を責める思考の癖とも通じる話ですね。自分のせいだと思う気持ちが強いからこそ、頑張らないと不安になる。自分への評価があまり高くなかったから、知性への関心を表に出すことが辛かった。木村さんの中で、人生の北極星は実はコーチングを受ける前から定まっていたけど、そこに向かって進むのに古い燃料が足枷になっていたんですね。
本当にそうだと思います。面白いのが、息子との向き合い方にもこの変化の影響があったんです。以前は「ママが頑張っているのは不安だから」とはなかなか言い辛いなと思っていました。でも、今は「ママはこんなことをやりたくて頑張っているんだよ」と、堂々と言えるようになったというか。むしろ息子に、私が何を好きで、何を頑張っているのか知って欲しい。そして、それが息子が自分の好きなものを好きなように追求する後押しになれば、とすら思うようになりました。すると、これまでなんとなくあった息子や家族への罪悪感が薄れていきました。
— コーチングを通じたこれら一連の変化は、キャリアの方向性にも影響しましたか?
知的好奇心はキャリアを超えた人生のテーマで、キャリアについては引き続き金融関連サービスの業界にいたいです。その中でも特にやりたい分野があるので、海外にいても、その分野でのキャリア復帰を目指したいと考えています。現地就職も選択肢のひとつです。
やりたい分野についてはコーチングを受ける前から見えてはいたのですが、現地でのネットワーキングが全然できていなかったんです。やりたいことを人にアピールすることがどうもできなくて。
–海外でのキャリア構築には、とにかく人脈を作っていくことが重要ですもんね。そしてその話は知的好奇心を大事にしたいことを人に言えなかったのと似ていますね。
本当にその通りです。でも、仮説ベースで抱いていたキャリアの目標に自信を持てるようになり、自分の「知りたい」という気持ちを素直にドライブさせられるようになったことで、日々の行動量が格段に増えました。ネットワーキングがこれまでできなかったのは、何となく怖かったからなのですが、新しい場所へ行って、新しい人と出会うこと自体が楽しくなり、今はめちゃくちゃやっています!
コーチングを終えて
— 今後もコーチングを継続される予定ですか?
はい。今回の9回で、人生の北極星を大上段から決めて、行動できるようになったので大満足です。一方で、キャリア復帰に向けて動き始めたところなので、各論ベースで揺らぎが出てくる場面があるだろうなと予想しています。2~3ヶ月ほどお休みしてから、タミーさんのコーチングを再開しようと思っています。
— どんな方にコーチングを勧めたいですか?
30〜40代で、母親や介護者といった「ケアギバー」の立場と、フルタイムで働くことを両立しようとしている方に、ぜひ勧めたいです。いろんな役割を背負って、バランスを取ることがめちゃくちゃ難しいこの時期に、もう一度自分を見つめ直して、自分がどういう人間かがわかるだけでも、人生をずいぶん前に進められます。そして、その道程を行く充実感そのものが変わると思います。まさに私がそうだったので。
–木村さん、貴重なお話をありがとうございました!
おわりに
木村さんにはコーチングを受け始める前から、「知的好奇心」という人生のキーワードも、目指すキャリアの方向性も決まっていたのだと思います。
ただ、ご自身の思考の癖によって、行きたい方向に足を進めることができなかった。その状態を「人生の北極星が見つかっていない。見つけたい。」と解釈して、コーチングを受けようと思われたのかもしれません。
木村さんが9回のコーチングで見つけたのは人生の北極星そのものではなく、北極星に向かう透明な足枷の存在、そしてそれを取り外す鍵でした。
私達CoParentsは進む方向がわからない、進みたくても前に進めないワーママさんをコーチングを通じてサポートします。充実した人生にしたい、自信を持って歩む姿をお子さんに見せたい、そう願うワーママさんはぜひ体験コーチングをお試しください。
木村直美さん(仮名)
37歳。金融関連サービス企業の総合職として約10年間勤務後、育休を経て配偶者の海外赴任に帯同。3歳の息子さんのお母さん。帯同先現地の大学院に在籍中。

浅井 種美 (木村さん担当コーチ)
CTIジャパン(米国CTI認定)プロフェッショナル・コーチ(CPCC)
化学メーカーに研究職として就職。ワーママ研究職として前例のない仕事と子育ての両立に悩みながら、誰の⾜跡もない世界に道を拓くように歩んできた。
「あなたは今のままで大丈夫。過度に何かを頑張るよりも、今すでにあなたに宿っている強さを信じて、大切に育んでほしい。」そんな思いで愛をもって、コーチとして伴走する。
