1mmの変化 ―仕事が辛くて悩んでいたワーママの第1歩―

6歳の娘さんのいる田中紗奈さん(仮名)は、とある会社で研究関連の仕事をしていました。ただ、仕事が辛い。辛い、辛い、辛い…。
でも、どうすれば辛さが解消されるのか、仕事で本当はどうしたいのかがわからずに途方に暮れていました。
そんな田中さんは、CoParentsのコーチングを受け始めました。そして、6回目のコーチングが終わった頃、担当コーチがこう言いました。
「田中さん、本当に素晴らしい変化を遂げられました。」
転職を決意されたのだろうか。資格の勉強を始められたのだろうか。上司に交渉して何かを勝ち取ったのだろうか。
ワクワクしながら、田中さんご自身に変化について伺ったところ、それは「1mmの変化」でした。
今回は仕事が辛くて悩んでいたワーママの田中さんが、大きなインパクトのある1mmの変化を起こしたお話を伺いました。(聞き手:CoParents代表・古村千尋)
バリキャリとか押し付けられたくなかった
–CoParentsのことはどこで知りましたか?
インスタグラムです。海外のビジネススクールに行っていたという代表の古村さんの経歴に興味を持って、投稿を見始めました。
–CoParentsのコーチングを受ける前から、コーチングについてご存知でしたか?
以前に職場のキャリアカウンセリングを受けたことがありました。だから、カウンセリングは過去にあったことに焦点を当てる一方、コーチングは未来志向なのかな、くらいのイメージはありました。でも、詳しくは知りませんでした。
–コーチングについてあまり知らない中で、CoParentsのコーチングを受けようと思ったのはなぜですか?
何となくキャリアに悩んでいました。仕事が辛いという気持ちがずっとあったのですが、仕事について自分が本当にどうしたいかがわからなくて。CoParentsのSNS投稿を見ていると、CoParentsに行けば解決できるんじゃないかと感じました。
–当時、仕事で何が辛かったのかを具体的に教えて下さい。

主に人間関係です。社外の方など気を遣う相手とのコミュニケーションが辛くて、心を擦り減らしていました。
社内の人間関係にあまり問題はありませんでした。しかし、社外の方と上手にやれないダメな自分にみんな呆れているだろうな、と感じて辛かったです。実際に社外の方とのやりとりについて、上司から指摘を受けたこともありましたし。
コーチングを継続する中で、他の悩みを話すこともありましたが、会社の人間関係の悩みがダントツで1番でした。
–他のコーチングやカウンセリングサービスは検討しましたか?
いいえ、CoParents1本で、他は見ていませんでした。CoParentsのSNSを見ていると、ここにはバリキャリ推奨とか、ゆるキャリ推奨とかがない気がしたんです。「あなたが良いと思うなら、どういう結果になってもいいんだよ」という感じがありました。当時はキャリアの着地点が全く見えなかったから、特定の理想像を押し付けられないのが良いなと思いましたね。
–田中さんは2人のコーチと体験を受けられました。1人目は適応障害や不妊治療を乗り越えた松本裕太コーチ(ゆうたさん)、2人目は大企業でフルタイムで働くワーママの隈部敦子コーチ(くまさん)。その結果、くまさんでコーチングを継続されました。2人と体験を受けた感想、くまさんで継続を決めた理由をお聞かせください。
くまさんに決めたのは、ゆうたさんがダメということではなく、順番の問題が大きかったと思います。最初にゆうたさんと体験を受けた時は、コーチングについての説明がメインでした。そこでコーチングの説明を聞けたおかげで、くまさんとの体験では説明を省略して、自分のことを話す時間が取れました。
でも、くまさんの体験でもコーチングを体感できた!という感覚はありませんでした。でも、くまさんと話していたら変化があるかもしれない、と思ったので、継続することにしました。
また、くまさんの人柄も魅力的でした。笑顔が素敵で、穏やかで、マイペースに話しても大丈夫という雰囲気がありました。
あと、これは他のコーチの方も同じかもしれませんが、「田中さんの言うことを決して否定はしません」と明言してもらえたのも良かったです。「人としてどうなの?という発言も歓迎だし、何でも吐き出してもらって、田中さんが次に進むためにセッションの時間を使ってもらえたら」と言ってもらったことを今でも覚えています。
言い辛い話を気兼ねなく話せる家族や友達があまりいないので、第3者の方に話すのはいいなとも思いました。
最初は粘り強く自己理解
–隈部コーチとのその後のコーチングがどんなものだったか教えていただけますか?
継続初回から3回目くらいまでは、私にとって1番大事なことは何かを知ることを目的に色々話しましょう、という感じでした。具体的にはワークシートを用いて自己理解を深めつつ、くまさんに自己開示をしました。
自己理解、自己開示、と言いつつ、実際は雑談をするような気楽な雰囲気でした。
この時期の気付きは、家族のために頑張る自分が意外にも好きなのかもしれないということです。
–「意外にも」ということは、田中さんは家族のために頑張る自分がそこまで好きではないと思っていたのですか?

くまさんに仕事やプライベートの愚痴も話す中で、「家のこと頑張り過ぎててしんどいんです。別に誰も頑張れって言ってないのに勝手に頑張ってしんどくなっている自分が嫌で。」という話をしました。
その時にくまさんに、「頑張り過ぎている自分が嫌と言いつつも頑張っているのは、そんなご自身が実は好きなのかもしれないですね。」と言われたんです。確かに、私ってそういう人間なのかもと思って、半年ほど前の話ですが、とても印象に残っています。
–コーチングで自己理解が深まったようですね。一方、元々コーチングを始めた時の悩みは職場の人間関係でしたよね。正直なところ、これまでの人生の振り返りだの、自己理解だのの前に、今の悩みをどうにかしてくれ!とは思いませんでしたか?
多少はそういう思いもありました。というのも、私は自己理解のワークシートを全然埋められなかったのが辛かったんです。本当に書くことが全く思いつかなくて。だから、この自己理解に時間を割くので正解なんだろうか、あぁ今の仕事の辛い話をしたいな、早く解決したいな、という思いはありました。
でも、昔のことを振り返れたのは良かったと思っています。
–仕事の悩みの裏にあるのは過去の蓄積から生まれたご自身の価値観だったりします。だから、自己理解を深めることで、より根本的な解決に繋がることもあると思います。
異動大作戦を立てるもスランプに
–その後、当初の悩みの仕事の人間関係の話はできましたか?

最初の数回で自己理解を深めた後に、個別の悩みの話をしました。くまさんには「とにかく仕事が嫌なんです!」という話をしました。当時の人間関係を完全にリセットできたら問題はなくなるわけではない気もしていて。そんなごちゃっとした思いを洗いざらい話しました。
当時の私は、解決策として異動希望を出そうかと考えていました。くまさんとは、「今のストレスから気持ちを切り替えられる異動先を探すために、具体的なアクションを取りましょう」ということになりました。
毎回のセッションの最後に、異動先候補のリサーチや、社内の人へのヒアリングなどの具体的なアクションを決めて、次回のセッションまでの宿題にしていました。
–具体性も行動力もすごいですね。異動に関して進展はありましたか?
それが…仕事が嫌だ嫌だとくまさんに話しながら考えているうちに、私は仕事への憧れというか、「こんな仕事がしたい」という思いが薄いことに気付きました。お金さえあれば仕事はもう辞めてしまってもいいなと思いました。
そんな調子だったので、異動に対するアクションにも気乗りせず、進捗は遅く、何だか停滞気味のまま、6回の回数券の終盤に来てしまいました。
–実は、4~6回くらいコーチングを受けてスランプになる方は他にもいます。コーチングで自己理解がある程度進んだ状態で今後の方針を決めたものの、「あれ、なんか違う…??」となってしまう。苦しいところですが、そこでもう1段階深く自分と向き合えると、「私がしたいことはこれだ!」と道が明確になります。
仕事に全力に取り組むための最初の1mm
–田中さんはスランプとどう向き合ったのでしょうか?
くまさん相手に1人でわーっとしゃべり続けたのを覚えています。細かい点は覚えていませんが、くまさんがさりげなくコメントを返してくれて、さらに自分の中から言葉が出てくるような感じがありました。
すると、今の職場で辛いのは、相手の意向に沿おうと頑張っているのに、相手を怒らせてしまって、私が1人で擦り減っていることだと気付きました。人に気を遣い過ぎて、今の部署の仕事を自分が思うようにできていなかったんです。
だから、全力でやったけど失敗しちゃった、悔しい!みたいな経験もない。人間関係ばかり気にして、仕事そのものに向き合えていなかったから、この仕事が面白いかどうかも判断できないなって。
そこで、くまさんと話して、「まずは仕事を全力で取り組める自分になる。その上で、半年~1年で期限を決めて、今の部署の仕事を全力でやってみる。それでダメだなと思ったらスパッと諦めて異動を考える。」という方針を決めました。
–解決策は異動ではなく、まずは人間関係に囚われ過ぎずに全力で業務内容と向き合う自分になることだったのですね。
そうですね。これまで人に気を遣って躊躇してできなかった発言や行動を、ほんの少しだけ、1mmくらい変えてみる。その1mmの変化を感じられたら、それを2mm、3mmと増やしていこう。勇気を出して小さな変化に挑戦しようと思えたところで、ちょうど6回の回数券が終わりました。
–田中さんが仕事を全力で取り組むための1mmの変化とは、例えばどんなことですか?

メール1本打つ、人に質問するときも、相手によっては自分の配慮が裏目に出ることが多くありました。だから、「メールをどう書こうか」「なんて話そうか」と、思い悩む時間がこれまではものすごく長かったんです。
でも、1mmの変化から頑張ろうと決めた後は、「もうこれで怒られたら仕方ないや、えい!」と腹をくくるタイミングがちょっと早まりました。もう本当に小さなことなんですけどね。打たれ強い自分になりたいと思ったので、「相手に否定されたくない」という思いの優先順位を自分の中で頑張って下げた感じです。
–1mmと仰っていますが、とても大事な最初のステップだと感じました。その1mmができれば次の2mm、3mmはやりやすくなると思いますが、最初の1mmを動かすのは大変だと思います。
–では今は人への気遣いを良い意味で少し減らす努力を継続中で、異動とかは考えてはいないのですか?
そうですね。おそらく今の私の人間関係に関する課題って、所属部署に関係ない話だと思っているので。
自分のキャリア観はまだわからないけど
–話題が変わりますが、コーチングを受けていてモヤモヤしたことはありましたか?
コーチングではほとんどの時間を私が話して、くまさんに聞いていただく感じでした。話すことで自分の考えを整理できるかなと期待していました。
でも、自分の発している言葉を自分の耳で聞いた時に、しっくりこないことがすごく多かったんです。あれ、これって本当に私が思っていることなのかな?って。自分の思いを言葉にしきれないのか。それとも自分の思いは言葉にできていても、自分で認めたくないのか。きっと自己理解がまだ足りないのだと思います。
あと、異動先の検討にやる気が出ず、スランプに陥っていた時に感じた「お金さえあれば仕事は辞めてもいいな」という感覚にはまだモヤモヤが残っています。
–詳しくお聞かせ頂けますか?
くまさんにも「私ってお金さえあれば仕事はいいやって思うような人間なんです」という話をしました。すると、くまさんは「私もそう思うことがありました」と言って、私の言葉を受け入れてくれました。
でも、その後に「本当にそれでいいですか?お金さえあればいいですか?」と聞かれたんです。
–結構踏み込んだ問いかけですね。

その前に、くまさんに今の部署は新卒の頃からの希望だったことを話したことがありました。確かに夢を抱いて異動希望を出した部署だったな。でも希望が叶っているのに辛いってどうなっているんだ?本当に今の職場や業務にもう未練はないのか?くまさんに問われて、自分でもわからなくなりました。
–「お金さえあればキャリアはもういいのか?」という点について、答えは出ましたか?
いいえ、今も答えは出ていません。でもどちらかというと、お金さえあれば仕事はいいかな、の方に傾いています。極論、不労所得で生活できたら仕事は辞めてもいいかなって。
でも、もう少し働いていたら面白いと思うこともあるかも、という気持ちで今は仕事をしています。人間関係を気にし過ぎて、仕事と真正面から向き合えていなかったわけですし。だから今は仕事に全力に取り組んでみた先の景色を見てみたいです。
–くまさんの踏み込んだ問いかけが、田中さんご自身の本音について1段階深く考えるきっかけになったように感じます。田中さんのキャリアに対する価値観が何なのかは、全力で仕事と向き合った後に理解できるのかもしれませんね。
1mmの変化を2mm、3mmに
–これからもコーチングは続けますか?
はい、もう少し続けます。仕事を全力で取り組むために、今頑張っている1mmの変化を、2mmに、3mmに増やしていきたいんです。でも、自分1人の力ではすぐにモヤモヤしてしまいそうなので、くまさんと定期的に振り返る機会を設けたいです。人間ってそんなにすぐに変われないので、もう少しくまさんと頑張りたいです。
–くまさんがいるのと、いないのでは、違うものですか?
次にくまさんと話すまでに、前に少しでも進もうという良いプレッシャーを自分にかけることができます。別にうまくできなかったとしても、くまさんに怒られるわけではないんですけどね。でも、「次にくまさんのコーチングを受けるまでに」というのがあるのとないのとでは違いますね。
–コーチングのスケジュールはどうする予定ですか?
これまでの6回は月1回の受講でした。これからは自分の仕事のスパンも踏まえて、2~3ヶ月に1回くらいの頻度にするつもりです。
–ご自身がどんな状態になるまでコーチングを続けるつもりですか?

まずは、人間関係を気にし過ぎずに仕事をできるようになって自分に自信を持つことが第1段階の目標です。その上で、今の業務が本当にしたい仕事なのかどうかを判断するのが第2段階の目標です。そんなにすぐに到達できないと思うので、1~2年続けることになる気がしますね。
–田中さんがコーチングをお勧めしたい人はどんな人でしょうか?
本当に誰でも受ける価値があるのではないでしょうか。悩んでいない人が受けても気付きがあると思います。
–最後にお伺いします。田中さんにとって、くまさんはどんな存在ですか?
難しい質問ですね(苦笑)私が最初にイメージしていた「コーチ」ではないですね。相談相手みたいな感じですが、通常は相談する相手の意見があるじゃないですか。でもくまさんが自身の意見を挟むことはない。かといって、仏像のようにただ話を聞くだけでもない。
–仏像(笑)
私が目標に向かって走っているとして、前から引っ張るわけでも、隣を並走するのでもないですね。1歩後ろを走っている感じでしょうか。で、後ろを走っているけど、私が転んでも、手を出して起こしてはくれない(笑)私が立ち上がるまでじっと見守ってはくれるんですけど。
–絶妙ですね(笑)子育てでも、子供が転んだ時に自分で立ち上がるのを見守る姿勢が自立を促すのに大事だったりしますからね。
–田中さん、本日は貴重なお話を聞かせて下さり、ありがとうございました!
おわりに
田中さんが現在進行形で挑戦している1mmの変化、いかがだったでしょうか?
仕事やキャリアで悩みがある時、転職や異動は解決策の最有力候補となります。しかし、田中さんのエピソードは、大きな環境変化だけが解決策ではないことを教えてくれます。むしろ、大きな変化に踏み切る前に、自分自身や身近なところから小さな変化を手堅く積み重ねていく方が良い場合もあります。
田中さんの1mmの変化は、決して大きくはないけれど、人間関係で悩む田中さんには不可欠な1mmです。そして、ご自身だけでは取り組もうとも思わなかった点だと思います。
田中さんが1mmの変化を広げて行って、ご自身がどんな仕事をどうしたいのかの答えを見つけるその日まで、CoParentsが1歩後ろを一緒に走らせて頂きます。
この記事を読んでCoParentsのコーチングに関心を持たれた方は、ぜひ体験コーチングをお気軽にお試しください。
田中紗奈さん(仮名)
大学院を卒業後、新卒より同じ企業の研究開発に従事する、40代前半のワーママ。小学生の娘さんが1人いる。

隈部 敦子 (武田さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
大学卒業後、大手総合食品メーカーで20数年勤務。事業企画・マーケティング・賞伝部門に従事。
プライベートでは高校2年の息子、中学1年の娘と忙しくもにぎやかな毎日を過ごしている。
コーチングとの出会いは子育ての悩みから。仕事・子育てにいっぱいいっぱいですべてが中途半端・・・
一体何のために生きているんだろうという中でコーチングを体験し、人生が大きく変わったと感じている。
