耐え時なのか、辞め時なのか ~漠然とした仕事の辛さを紐解いたワーママの話~

上野知佳さん(仮名)はITコンサルとして活躍するワーママでした。でも、ハードな仕事に対してどんどんモヤモヤが募り、子育てとの両立にも辛さを感じるようになっていました。

私はこの仕事で生きていくべきなのか。私にはこの仕事が合っていて、これは耐え時なのか。それとも辞め時なのか。

そんな悩みをどうにかしたい!と上野さんがワーママ向けコーチングCoParentsに駆け込んだのは2024年の年末。そこから4ヶ月弱、上野さんは必死に自分と向き合いました。

そのプロセスはどうだったのか。結果どうなったのか。お話を伺いました。(聞き手:CoParents代表・古村千尋)

目次

仕事に対するモヤモヤが加速

–上野さんこれまでのバックグラウンドを教えて下さい。

農学で修士号を取得した後に就職しました。農業の業界に新たな風を吹き込むような仕事をしたいと考え、農業×ITの仕事ができる会社でシステムエンジニア(SE)として働くことにしました。

希望通りの仕事ができたものの、ITという手段を突き詰めるのではなく、農業の課題に対して何をするのか、プロジェクトを立案して進められる人材になりたいと思い、コンサル企業に転職しました。最初の会社でSEをしていたことを活かしてITコンサルの仕事することにしました。

転職したITコンサル会社で妊娠・出産・育休も経験しました。

–CoParentsのことはどのように知りましたか?

Instagramです。当時仕事に対して漠然とした不安を感じていたので、CoParentsの投稿には惹かれるものがありました。

–CoParentsの体験コーチングを受けようと思ったのも、仕事への漠然とした不安からでしょうか?当時の不安や体験を受けた理由を教えて下さい。

去年の夏に仕事のプロジェクトがひと段落した時に、「今のITコンサルの仕事のままでいいのかな…」とぼんやり考えるようになりました。その後新しいプロジェクトが始まって忙しくなるうちに、そのモヤモヤがどんどん加速していったんです。

–ITコンサルの仕事へもモヤモヤは去年の夏から急に出てきた感じでしょうか?

いえ、育休から復職した後からだと思います。転職した直後でまだ子供がいなかった時は、新しい仕事にとにかく必死で、何も疑問は抱いていませんでした。育休から復職して最初のプロジェクトは、家庭と仕事を両立させることに必死だったため、今思えば仕事に対するモヤモヤはあったものの向き合う余裕もなく「とにかく目の前の仕事を頑張ろう」という気持ちでした。

問題はその次のプロジェクトでした。コロナが落ち着いたことで会社が出社回帰の方針となり、片道1時間半~2時間かけ通勤し、お客様先に常駐する働き方になりました。物理的に仕事と子育ての両立に難しさを感じ始め、「子どもとの時間を犠牲にして、夫にワンオペの負担をかけてまでやりたい仕事なのか?」と思うようになりました

これは踏ん張り時なのか。それともITコンサルという仕事の継続を見直すべきなのか。すごく悩みました。そこで去年の年末年始の休みの間に何かアクションを取りたい!と思ってCoParentsの体験コーチングを申し込みました。

年収アップや上昇志向は違う

–コーチングとはどんなものか、当時はご存知でしたか?

コーチング会社に転職した同僚が何人かいたため、コーチングの存在は知っていました。でも詳しくは知らなかったです。

–数あるコーチングサービスの中からCoParentsを選ばれた理由は何ですか?

正直なところ、比較検討する余裕はありませんでした。早くこのモヤモヤをどうにかしたい!と、目に留まったものに飛びついた感じです。

CoParentsが目に留まったのはワーママに特化していたからです。私の「ママである」というバックグラウンドに対し、一定程度の理解・共感があるコーチでないと、本音でお話したり、意味のあるアドバイスをもらうことが難しいのではないかと考えていたので「ワーママ向け」というコンセプトがいいなと感じました。

また、コーチングって、キャリアに対して意識が高い、上昇志向の人が使うケースも多いと思うのですが、私はちょっと違うと感じていました

–確かにCoParentsの目的は、キャリアアップや年収アップではありません。私達は悩んでいるワーママの方が納得できる道を見つける伴走をすることを目的にしています。

私ですら気付かなかった「疲労」

–体験コーチングで磯山江梨コーチ(えりさん)を選んだ理由を教えて下さい。

えりさんがIT系の会社に勤務経験があり、自身と同じ男の子の母親であることから親近感を覚えました。また、えりさんのお子さんが当時小1で、私が「小1の壁」も気になっていて、自分の少し先を行く先輩だなと思ったからです。

–えりさんでコーチングを継続した決め手は何でしたか?

体験コーチングの時に、えりさんに「疲れているね」と言われました。私自身は疲れていると自覚していなかったんです。でも、「確かに疲れているな」と言われてから気付き、「自分のことって何も分かってないな」と感じたんです。

これまで「なんでうまくいかないんだろう」とばかり考えていて、頭の中に靄がかかったような状態でした。でも、体験コーチングを経て、「私を疲れさせているものって何だろう?」という、これまでにない視点を得たんです。

体験コーチングだけでは「私を疲れさせているもの」を完全に特定はできなかったのですが、えりさんに「なんか面白くなさそうだね」と言われて。きっと、「面白くなさ」が私を疲れさせているものなんだろうなという、糸口が見えました。

じゃあ私にとって面白いとは何だろう?と。えりさんとの体験セッションを通じて、好奇心を持って前のめりに状態が面白いのだと気付きました。当時仕事で携わっていたプロジェクトは、、自分の意見に自信が持てなかったり、自分らしさが出しにくい、押し込められているような感覚がありました。今の私が置かれている状況は、好奇心・前のめりとは真逆の環境なんだと思いました。

自分ですら気づいていなかった疲労を指摘してもらい、疲労の原因もここまで紐解いてもらえました。えりさんとのフィーリングもばっちりだったので、「早く続きをしたい!」と思い、えりさんで継続することを即決しました。

思い出した、本当の夢

–継続セッションはどのように進みましたか?

私は「鍵を見つける6回コース」にして、最初の2回は、6回のコーチング終了後の目標設定や、小学校時代から大学院までの人生のストーリーの振り返りをしました。

2回目のコーチングの最後にえりさんから出された宿題が印象に残っています。

–どんな宿題が出たのでしょうか?

「働くモチベーションが何なのか、私自身よくわからない」という話をしたところ、「働くモチベーションについて周りの人に10人ヒアリングする」という宿題が出されました。

それで、とりあえず同じ会社の人に聞こうとしたんですが、1人も聞けなかったんです。

–なせでしょうか?

同僚も忙しい中、時間を取ってもらってまで聞きたいと思えなかったからです。仲のいい人がいないというわけではないんですが、「何のために働く?」みたいな話を語りたいと思う人がいなかったんです。本来こういう熱い話をするのが好きなタイプなんですが、同じ会社の人に聞けなかったという事実から、「もしかしたら今の会社は自分が自然体でいられる場所ではないのかなぁ」と思いました。

なぜそう思うのか、3回目のコーチングまでに自分なりに考えてみました。結局、ITコンサルタントという職種でプロになりたいわけではないからだと気付きました

ITコンサルの仕事はとても大変なので、全力投球しないとダメなんです。でも私はこの仕事に全力投球はしたくない、できない、と感じるようになりました。育児と両立しながらでは、どうしても求められる品質を満たすのは難しいんです。でも、その品質ギャップを埋める時間も気力もないと感じました。

この一連を踏まえて、「転職しよう!」と決意しました。そもそも、農業分野の改善のための修行としてITの仕事をしていたのに、その大目的を忘れてしまっていましたITコンサルは激務と言われる一方で待遇も良いので、いつの間にか本来の目的が見えなくなってしまっていたんですよね。 実は、働くモチベーションについて会社の人には聞けなかったけど、以前の会社の時の同僚とは話し合えたんです。その人と話している時に、元々私は農業分野を志していたんだということを思い出せました。

周囲を気にせず、好奇心だけを大切に

–転職を決意した後、コーチングではどんなテーマを話したのか、コーチング以外の時間でどんな行動を取られたか、教えて下さい。

コーチングではとにかく自己理解を深めることに注力しました。あと、えりさんから新たに宿題が出ました。それは自分のユニークな特徴を100個洗い出すというものでした。他の人にもヒアリングしながら、自分についてものすごく考えました。

コーチング以外の時間では、3回目のコーチングが終ってすぐくらいに、退職の意向を伝えました。

–まだ転職先は決まっていない状態で退職を伝えた、ということですよね?

はい。そして、農業分野から離れて長かったので、農業の学校に通い始めました。新規就農を志す人などが対象で、栽培や農業経営を学ぶところです。

–動きがとても速いですね。

やりたいことに向けてものすごいスピードで行動するって、なんだかとても私らしい動きだなって思っていました。ここまで動けたのは、3回目のコーチングでやった自己理解に関するワークの1つの影響が大きかったように思います。

–どんなことをされたのでしょうか?

えりさんが、架空の物語を聞かせてくれて、それを聞いて私はどう思うのか?というのをアウトプットするワークです。正直、最初にその物語を聞いた時、「なんか抽象的でよくわかんないな」と思いました(笑)

でも、そのお話は、自己受容の大切さ、自分を評価せずに受け入れることに関する話だなと私は思ったんです。それ以降、キャリアに関することでも自己受容を大切にして、周囲の評価への拘りを捨てて、行動できるようになったと感じています。

なんというか、えりさんは最初の体験の時から、私のユニークさに気付いてくれて、全ての回を通して、私が自分の個性に気付くのを手伝い続けて下さったなと思うんです。えりさんのコーチングを受けるうちに、私自身が自分のユニークさや個性を大事にしなきゃという気持ちになっていきましたね。

何にNoを出すのか?

–コーチング終盤の5回目、6回目ではどんなことをしましたか?

1~2回目が自分を見つめ直す時間、3~4回目が覚悟を決めた時間だとしたら、5~6回目は目指す方向をクリアにする時間だったかなと思います。

–農業分野に戻るなど、既に方向性はクリアになっていた気がしますが、5~6回目のコーチングで新たな気付きはあったのでしょうか?

仕事に限らず、自分の人生全体において、自分が面白い・楽しいと思えることを大切にする、という軸は既に見えていました。

この時の新たな気付きというか、進捗は、自分がうまくいっている時とうまくいっていない時の差を綺麗に言語化できて、これから私が注意すべきことが見えたことだと思います。

–上野さんが好調な時と不調な時の差とは何なのでしょうか?

えりさんがよく、「操縦席」という言葉を使っていました。私が好奇心を持って、船の操縦席にいて、自分で船を運転できていると、成果も出せるし、自分の良さを発揮できる。

ただ、私が好奇心を持てていない時というのが厄介だと。私は、自分でいうのもあれですが、真面目なところがあり、好奇心がなくても、割と何でも引き受けて、それなりにこなしてしまう。本当は嫌なのに、表面上は上手に取り繕ってやりきってしまう。

しかも、私はフットワークが軽いです。好奇心がある時にフットワークの軽さが発揮されると最強です。でも、好奇心がない時にフットワークが軽くて、真面目で…となると、なんかおかしな方向に行っちゃうんです。だから気をつけないといけない。

–上野さんの場合、好奇心がないものに手を付けてしまうと、本当は辛いのに、器用さと努力家精神で、自分をごまかして頑張ってしまう。でも自分の心身は自分が思った以上にダメージを喰らってしまう。そんなイメージでしょうか?

そうですね。思い返せば、私は子供の頃から、興味がないことは全然できないタイプでした。昔、ピアノを習っていたのですが、本当に興味がなかったんです。ピアノを練習し始めると体が痒くなったり。でも、なかなか辞めると言えなくて、結局中学生まで続けていました。続けていただけで、身についていないので、今はほとんど弾けませんが・・

子供の頃って、見栄もないし、周囲の評価も気にしないので、ストレスを体に出して表現できたんだと思います。でも、大人になると社会的な立場もあります。金銭面とか評価とかのせいで、「興味がない。つまらない。」という気持ちに蓋をしてしまいがちなんだなと。

興味がなくてもしばらくは頑張れるんです。でも、好奇心が湧かないものに無理して取り組んでも、中長期的に良い結果には繋がらないのだと思います。

あと、5回目のコーチングでえりさんに1つ問いかけられました。

–えりさんから何を聞かれたのでしょうか?

これから知佳さんがNoというものは何ですか?」と聞かれました。子供の頃、ピアノに「No」と言えなかった私にとってとても大事な問いだと感じました。私が何にYesを出すのか、Yesを出したことに向き合うために、Noを出す。そんな取捨選択が必要なんだと腑に落ちました。同時に自分の人生なんだから、私が楽しいことだけをやればいいんだな、と吹っ切れたように思います。

–何にYesを出すのか?ではなく、Noを出すのか?というのがポイントな気がしました。

まさに。そもそも、元々大学で専攻に選んだ農業が今でもずっと好きなので、Yesなものはよくわかっているんだと思います。好奇心の無いことをしてしまう悪影響が大きいので、何にNoを言うか、という視点は大事ですね。

藁にもすがる思いで取り組んだ結果得たもの

–最終回、6回目のコーチングはいかがでしたか?

私の人生の目的、スローガンのたたき台を作って、えりさんと話しながらブラッシュアップしていきました。新し気付きがあったというより、これまでのコーチングの総まとめのような会でしたね。加えて、転職活動の軸を言語化しました。

–6回のコーチングの中で、上野さんにとって最も大きな変化は何だったと思いますか?

2つあって、1つは自分の好きなことや個性を大事にする、生かす覚悟を決めたことです。

もう1つは他者評価じゃなくて、自分の好きなことなどを踏まえた自分軸で物事を選ぶようになったことです。

–素敵ですね。ところで、先ほどからメモを見ながらお話頂いてますが、そのメモ、すごい書き込み量ですね。

私はコーチング中、かなりメモを取っていました。もう必死だったんですよ。毎日の通勤電車の中で、「やめたい」「辛い」とか検索していたくらいです。私はどこまで頑張るべきなんだろう、どうしようと、本当にわからなかった。CoParentsのコーチングには本当に藁にも縋る思いで取り組んでいました。

–この悩みをこのコーチングで絶対にどうにかするんだ、という強い意志が伺えます。メモを取るほかにコーチング中に意識していたことはありますか?

セッションが終った後は、メモを見返して、重要そうなキーワードをハイライトして復習していました。また、セッションとセッションの間も、積極的に人と話す機会を作って、自分の考えをアウトプットするように心がけていました

–今後もコーチングは継続されますか?

6回のセッションで区切りがついたと感じており、一旦これで終わりかなと思っています。

–コーチングはどのような人におすすめしたいですか?

今の仕事に悩んでいる、このまま続けていていいのかなとモヤモヤを抱えている方たちですね。みんな悩んでると思うし、そのみんなに必要なものだと思います。だから、このCoParentsという会社がもっと世の中に広まったらいいなと思います。

–上野さん、貴重なお話をありがとうございました!

おわりに~転職活動はどうなった?~

このインタビューを終えて1ヶ月と少し経った後、上野さんからこんなメッセージが届きました。

周囲の評価や目線を気にせず、自身の好奇心を大切にした結果、上野さんは心から納得できる転職を実現されました。

どのライフステージでも、「自分が望むキャリア・仕事は何か」という問いに悩む方が多いです。ワーママであれば、その答えに、子供・家庭が影響する方も多いと思います。そのこと自体は自然なことです。

ただ、一個人としての自分の本音と向き合う前に、「子供がいるから」の枕詞をつけて、この問いの答えを出してしまうのは危険です。そうすると、結局数年後に「これは自分の望む仕事じゃない気がする」という辛い思いと対峙しなければならなくなります。

今仕事に悩んでいて、どうしたらよいかわからない方は、現実的かどうかとかは横において、ぜひ一度ご自身の本音と、とことん向き合って頂きたいです。

この記事を読んで、CoParentsのコーチングに興味を持たれた方は、ぜひ体験コーチングをお試しください。

上野知佳さん(仮名)

34歳。農学で修士号取得後、IT業界でキャリアを積む。もうすぐ3歳になるお子さんがいる。

磯山 江梨 (上野さん担当コーチ)

CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)

グラフィックデザイナーを経て日系ベンチャー企業で約15年勤務。広報/PRを経て、現在は時短社員として人事に従事。プライベートでは小2の息子の母。息子との限られた時間と仕事とのバランスを模索しながら楽しくやっている。

出産・育休復帰後に仕事と育児の両立でパンクし、うつで休職。

復帰後も人との関わり方に悩み、ライフスキルとしてコーチングを学び始め、生きるエネルギーを取り戻す。

現在は人事業務と並行して、社内外でコーチングを提供するほか、地域へのコーチング啓蒙活動などにもマイペースで関わりながら「今しか体験できない子育て期を満喫する」をモットーに暮らしている。

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