なぜ苦しいかわからなかった

子育ては完全ワンオペで辛い。仕事は土日祝日が大切な小売業界で、シフト制だから、子育てとの両立で悩むことが多い。

じゃあワンオペじゃなくなったら、仕事が平日9~5時勤務になったら、苦しくなくなるの?いいや、そんな気はしない。

この苦しみの正体はいったい何だろう…

今回はそんな悩みを抱えていた、小1のお子さんのいらっしゃるワーママの小林香織さん(仮名)にお話を伺いました。CoParentsのコーチングを受けて悩みの正体はわかったのでしょうか?(聞き手:CoParents代表・古村千尋)

目次

本を読んでもわからない苦しみ

–CoParentsはどのように知ってくださったのでしょうか。

Instagramで投稿を見たことがきっかけです。

–コーチングに以前から関心があったのでしょうか。

いいえ、それまではコーチングのことは全く知らなかったです。

–コーチングを知らない中で、CoParentsの体験コーチングを受けてみようと思われたきっかけは何ですか。

時系列順にお話しすると、今小1の娘の育休中に、市がやっているカウンセリングを受けていました。夫は飲食業界勤務で休みが少なく、親戚も近くにいなくて、完全ワンオペで辛かったんです。

でも、市のカウンセリングは全然しっくり来ませんでした。理解はしてもらえたけど、何も変わりませんでした。

現在は私自身もシフト勤務で、引き続き完全ワンオペで辛い状態が続いていました。ただ、体力的に辛い以上に、なんかよくわからないけど、ずっと苦痛だったんです。ずっとモヤモヤしてしんどい感じで。

どうしたらよいかわからず、心理学や自己啓発本を何冊も読み漁りました。でも、頭でっかちになるばかりで、本の知識を自分に活かせている感覚がありませんでした。

その時にCoParentsのインスタ投稿を見て、「ここに書いているワーママの悩みの話は全部私のことだ」って思ったんです。私の悩みをずばり言い当ててくるCoParentsならこの苦しみはどうにかできるかもしれない、と思い始めました。

そのCoParentsがやっているのがコーチングというものだと知りました。調べると、私が昔しっくりこなかったカウンセリングは過去の整理をするものだったけど、コーチングは未来志向だとわかりました。

カウンセリングが無理だったから、向いている矢印の方向が違うコーチングだったら大丈夫かもと思って、体験コーチングを申し込みました。

–当時感じていた「何かよくわからない苦痛」について、説明するのは難しいと思いますが、もう少し詳しく伺えますか

もちろんワンオペはしんどかったですし、仕事そのものにも悩んでいました。小売業界なので、週末や年末年始が大事なのに、私は家庭があるのでお休みを頂いていました。リーダーポジションなのに休む、というのが苦痛でした。

また、体験コーチングに申し込んだ頃は新しい店舗の立ち上げと子供の卒園・入学が重なって、本当にストレスを感じていました。仕事は今でもやめたいと思うことが多いです。

しかし、しんどいものを1つずつ取り除いたところで、楽になる気もしませんでした。例えば、シッターさんをお願いして、数時間ワンオペから解放されたところで、このよくわからない苦しみは消えない気がしていました。

とりあえずしんどくて、私の周りにずっと靄(もや)が掛かっているような感じ。ただ、その靄(もや)が何かも、どうやったら解決できるかもわからない状態でした。

自分を観察する方法を知ることができた体験コーチング

–体験コーチングに磯山江梨コーチ(えりさん)を選んだ理由を教えて頂けますか。

私はシフトの関係で、平日にしかコーチングを受けることができません。そのため、平日枠の多いえりさんを選びました。

–体験コーチングでは、どのような点が継続のきっかけになりましたか。

自分を見る方法を教えてもらったんです。私、こういうことを知りたかったんだ!となって、続けてみたいと思いました。

–えりさんに聞いた「自分を見る方法」とはどんなものでしょうか。

私の感情を握る運転手がいる」という話が印象的でした。比喩のような考え方で、自分の心を揺さぶっている感情を可視化するようなワークでした。そして、この感情がいるときは、こんな自分でやっていこうみたいなパターンを話しました。

–ユニークな考え方ですね。ところで、少し視点の違う質問をさせて下さい。ワンオペが辛いというママさん達の中には、夫や職場など外に原因があると考える方も多いです。一方で、小林さんは心理学の本に答えを求めたり、体験コーチングでも自分の見方を知れたことに価値を見出されていますよね。最初から、自分の心の内面にアプローチすべきだと思われいた気がしますが、それはなぜですか。

周囲に頼れる人がいないことなど、変えられないものを嘆いても仕方ないとは思っていました。でも、「じゃあ自分を変えるしかない」とわかったのは、えりさんのコーチングを通してですね。最初からではないです。

疲れた時に自分をリセットする方法

–セッションでは、どのようなテーマでご自身と向き合っていかれましたか。

私は鍵を見つける6回コースにしました。最初の3回目ぐらいまでは、過去の出来事を振り返りました。例えば、小学校の頃何が好きだったかとか。

そして、3~4回目で、自分が一番楽しいと感じる場所へ「ワープ」するイメージトレーニングを教えてもらいました。

5回目では、自分の感情に名前をつけるという宿題が出ましたね。あと、どこかの回で自分を俯瞰することもしました。別の人がいて、自分がどうなっているのかを見るようなイメージです。

–6回を通して、とにかくご自身への理解を深められたのですね。コーチングセッションで印象的だったことはありますか?

ワープのイメージトレーニングを知ることができたのは良かったです。自分の力で、自分を良い状態に持って行けたり、無になれたりするので。

イライラしそうな時や疲れ切った時に、モルディブのコテージに行くイメージをしています。水の音だけが聞こえて、ただ寝転がって、風を感じて…という。

辛い時に自分をリセットする方法を習得できたのはかなり大きいですね。

今に繋がるドッジボール少女時代

–過去の振り返りでは何か気づきはありましたか?

子どもの頃、ドッジボールが好きだった時の話から、「私はみんなで楽しむのが好きで、苦手な子でも活躍できる場所や、その子の良い点を見つけて否定しない」という自分の特性に気づきました。

昔ドッジボールで、逃げるのが苦手な子は外野でボールを味方に回すとか、そういう活躍できる場所を探すのが好きって話をしていたんです。すると、えりさんから、「自分ができることに対してマウントを取らず、他者を否定せずに、良いところに目を向けられるんだね」と言ってもらえたんです。

–私、小学校の時ドッジボールが本当に嫌いだったんです。ボールに当たるのが本当に怖くて、必死に逃げ回ってたら最後まで残っちゃって、もうずっと逃げ続けないといけないのが苦痛で。小林さんがクラスにいたら、ドッジボールが好きになれたかもしれません(笑)

でも、逆に最後まで残れるの、すごいじゃないですか。

–確かに人の良い点を見つけるのが上手ですね(笑)ありがとうございます。「マウントを取らずに、他者の良いところや活躍する場所を見つける」というご自身の素敵な点は、えりさんに言われるまでは気付いていなかったのですか?

気付いてなかったです。でも、確かに誰かを蹴落として自分が優位に立つみたいなことは、今でも絶対にやらないですね。ドッジボール時代の考え方が今の自分の性格にも繋がっていると思います。私にはこんな長所もあるのだと知ることができました。

イライラを減らす秘策は自分の俯瞰

–コーチングを受けて、ご自身に何か変化はありましたか?

イライラすることが減ったと感じています。さっき話した、自分をリセットする「ワープ」の方法や、自分の感情を客観的に把握する「ベイマックス」のイメージを毎日実践していることも影響しています。

–ベイマックスのイメージって何ですか?

私はディズニーが好きなので、ディズニーのキャラクターを活用しています(笑)えりさんとのセッションの始めに、ベイマックスが私をスキャンして、その時の私のコンディションを分析するイメージをしています。「今私は嫌な気持ちだな」「今日は機嫌がいいな」とか。

この自分を俯瞰するのがとても良くて、今ではセッション外でも毎日やっています。仕事行く前に、今日は仕事に行きたくないモード80%だなとか、逆にノリノリで仕事行きたい!という時もあれば。

–ベイマックスという特定のキャラクターがスキャンするっていうのがポイントですよね。その方が具体的にイメージできるので。

そうですね。おそらく、自分を俯瞰できるようになったのがイライラが減った要因の1つだと思います。

あと、えりさんが毎回のセッションを柔軟に組んでくれていたのもありがかったです。えりさんの中ではその日のセッションの計画があるけれど、今個別の悩みやモヤモヤがあれば、その紐解きをサポートしてくれました。

私を苦しめていたのは私だった

–コーチングを通じて、当初感じていた「よくわからない苦痛」の正体について、何か発見はありましたか。

結局、自分で自分をしんどくさせていたことに気づきました。特に子どものご飯の食べ渋りなどの際に、「私の料理の作り方が悪かったのではないか」「私が専業主婦だったら食べてくれるのかな」などと、自分の至らなさを責めてしまう傾向があったんです。

でも、コーチングでベイマックスを使った自分自身を俯瞰する方法を習得してからは、食べ渋りの時に「あ、今の私イライラ90%だ」みたいに客観視できるようになりました。すると、過剰に自分を責めることが減っていきました。

–事態を客観視できると、自分のせいで食べ渋っているわけではないと冷静にわかりますからね。では、なぜそこまで自分を責めてしまう傾向があったのでしょうか。

周囲に対して言いたいことを遠慮してしまうんですよね。子供に今注意したら泣くだろうなとか。あと夫にももっとお願いしたいことがあるけど、忙しいだろうし我慢しようとか。私、仕事でもそんな感じなんです。私の立場でこの話をすると角が立つから辞めておこうとか。

「自分が我慢すれば周りが幸せになる」「人にお願いせず、自分でやれば済む」と考えてしまうんですよね。

色を失っていた私

–コーチングを受けたことで、我慢しがちな性格に変化はありましたか?

今はまだ、自分の思考の癖をようやくしっかり認識できたという段階なので、変化はこれからだと思っています。自分が我慢しがちなことに、これまで完全に無自覚だったわけではないけど、そこまで意識していませんでした。

なんというか、私は自分で自分を傷つけているのだと気付けました。どう発散してよいかわからない思いを、自分で自分の首を絞めて、痛みに変えているような。

–心のリストカットみたいなことでしょうか。それは辛いですね。

確か5回目のコーチングの時に、私は自分の感情を2回の奥の押し入れに閉じ込めて、その感情の声を聞こえないようにしているという話になりました。

イメージとしては、私は1階にいて、2階の奥という遠いところに、「本当は辛い」という泣いている気持ちを幽閉している感じです。

–自分で自分を苦しめてしまう傾向は、お子さんが生まれる前からあったと思いますか?

そうですね。自分が我慢したら周りは幸せになれるという思いは、実は昔からずっとあることに気付きました。

あと、えりさんに「小林さんはカメレオンみたい」と言われました。私は自分の色がわからなくて、自分の色を一生懸命に探している状態だと。

–自分が我慢すればよいという思いが、小林さん自身の色を失わせていたのかもしれませんね。

そうですね。そして、ずっと子供がカメレオンの色になっていたと気付きました。でも、子どもも小学生になって、手が離れてきて、何でも自分ですると言い出すようになって。

この子がいなくなったら私どうなるんだろう。私の染まる色がなくなるのではないか。つまり、私が依存できる先がなくなるのではないか。そう思っている自分に気付きました。

–「ワンオペが辛い。仕事が辛い。その1つ1つを解消したところで、このモヤモヤは消えるのだろうか。」という思いの根本にあるのは、小林さんのそういった昔からの考え方なのかもしれませんね。

そうかもしれません。自分の考え方をしっかり認識できたのは大きな1歩だったと思います。

やっと剥がれた苦しみの一層目

–コーチングを通じて、日常生活での具体的な変化はありましたか。

体調は以前より少し楽になりました。以前は休日に疲れて寝込んでしまうことが多かったんです。今はそこまでではありません。

引き続きワンオペで、具体的な状況は変わっていませんが、自分の気持ちの持ちようが変わったことは大きいなと思っています。今でも子供の食べ渋りがありますが、「なんかうまくいかなかったけど、私もここまで頑張ったしな。どのご飯を食べるかは彼女の意思決定だしな」と捉えられるようになりました。

–仕事のストレスについてはどうでしょうか。

仕事については、今も「やめたい」という気持ちは強くあります。仕事の悩みへの具体策はこれからかなと思っています。娘が小学生になって、少し親離れしたことで、キャリアを考える余裕が出てきました。なんか、ランドセルという武器を持って、「私はもうお姉ちゃんだから!」って感じで(笑)

あと、さっきお伝えしたように、自分の気持ちの持ち方が変わったことで、生活のストレスが軽減されたために、仕事の悩みがより際立ってきたというのもあります。

–6回のコーチングを終えた後に、3回のメンテナンスコースのチケットを購入されましたよね。今後のコーチングでは、次に目立ってきた仕事の悩みに向き合っていく予定ですか。

はい。次は仕事の悩みですね。これまでの6回で自分で自分を苦しめる思考の癖に気付けて、辛さの一面が剥がれました。メンテナンスコースで次の一面を剥がしに行きます。

私のコーチは動じない

–えりさんとのセッションで特に印象に残ったことはありますか。

えりさんね、結構ズバッと言ってくれるんですよ(笑)うわーその角度から来るか!みたいなことは多かったです。

–きっと小林さんはそのフィードバックを受け止められる!というえりさんの信頼の証左ではないでしょうか(笑)

いやー(笑)私も話しているうちに泣いてしまうことも多々あったのですが、えりさんは私の涙に影響されずにセッションを前に進めてくれるんですよ。

–目の前の人の涙に過度に引きずられずにコーチングをするのは、鍛錬を積んだプロコーチの特殊技能だと私は解釈しています(笑)

私は昔にカウンセリングも受けたことがありましたが、そのズバッと感がカウンセリングと違うなと思いました。カウンセリングは共感し慰める感じでしたが、コーチングは視点が違うと感じましたね。

–どのような人にコーチングをお勧めしたいですか。

私は誰であっても、何事もプロに頼れば良いと思うんです。家事についてもハウスキーパーやシッターさんに頼ればいい。心が辛い時、悩みが解決しない時に、自力でどうにかしようとすると、余計に悪化すると思います。

メンタルに関しては、どれだけ本を読んでインプットしても無理なんですよ。だから、どの人も積極的にプロに頼って欲しいなと思います。

お金を払っているという感覚があると、コーチの時間を思い切り自分のために使っても良いんだと思いやすいです。あと、どこかに赴かないといけないとなると、仕事と子育てをしながらだとハードルが上がります。その点、CoParentsはオンラインでできたのも良かったですね。

–小林さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

おわりに

仕事そのものやワンオペの辛さ、そして何かわからない苦痛。悩みが複雑に絡み合っていた小林さんですが、6回のコーチングを通して苦痛の正体を暴くことができましたね。

小林さんを苦しめていたのは「私さえ我慢しておけばそれでいい」という、昔からの思いでした。ここで注目したいのは、その思いは仕事や母としてのステータスから生まれたものではないということです。昔から抱えていた思いが引き起こす症状が、ワーママというライフステージになったことで顕在化したと言えます。

ご自身の1番深い部分にある思考の癖に気付けた小林さん。ご本人にとっては、お話を聞いている私達が想像もできないくらい大きな変化だったことでしょう。そして、根幹に気付けた小林さんは今後仕事やキャリアの問題にも、小林さんらしく取り組んでいかれるはずです。

この記事を読んでCoParentsのコーチングに興味を持った方は、ぜひ体験コーチングをお申込み下さい。

小林香織さん(仮名)

小売業界で働く41歳。プライベートでは小学1年生の娘さんのお母さん。

磯山 江梨 (上野さん担当コーチ)

CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)

グラフィックデザイナーを経て日系ベンチャー企業で約15年勤務。広報/PRを経て、現在は時短社員として人事に従事。プライベートでは小2の息子の母。息子との限られた時間と仕事とのバランスを模索しながら楽しくやっている。

出産・育休復帰後に仕事と育児の両立でパンクし、うつで休職。

復帰後も人との関わり方に悩み、ライフスキルとしてコーチングを学び始め、生きるエネルギーを取り戻す。

現在は人事業務と並行して、社内外でコーチングを提供するほか、地域へのコーチング啓蒙活動などにもマイペースで関わりながら「今しか体験できない子育て期を満喫する」をモットーに暮らしている。

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