この記事を読まれているワーママの皆さんの中には、管理職の方もいらっしゃるでしょう。部下に厳しいフィードバックを伝えなければならない場面では、伝え方に悩む方も多いのではないでしょうか?
今回は、部下にネガティブなフィードバックを伝えるのに悩んでいたママ管理職、澤田香奈さんのエピソードをご紹介します。部下にネガティブなフィードバックを伝え辛いという悩みを掘り下げると、意外な原因が正体を表したそうです。
ぜひ最後までお読みください!
ネガティブなフィードバックは言い辛い
–さて、澤田さんは部下の方との向き合い方をコーチングで話したと伺いました。管理職ならではの悩みですよね。具体的にどんな話をされたのでしょうか?
私には、特定の専門分野について、私よりも知識も経験もある部下がいます。でも彼の業績が思うように上がらない状態が続いていました。そのため、その部下に対して厳しいフィードバックする必要がありました。でもフィードバックを行うのにかなり抵抗感がありました。そこで、コーチングで部下へのネガティブフィードバックに難しさを感じることを話しました。
–部下の方に不足する点を伝えるのは難しいですよね。しかも部下の方が澤田さんより専門性が高いならなおさら言いにくいと思います。コーチングではその悩みをどのように深堀していきましたか?
まずは、ネガティブフィードバックの何がやりにくいのかをコーチと一緒に考えました。例えば、厳しいことを伝える時の思い雰囲気が苦手なのか。それとも相手に嫌われてしまう可能性があることが嫌なのか。ネガティブフィードバックが難しい、という思いには色々な要因があることがわかりました。
私の場合は、ネガティブフィードバックを受け取った部下がどう思うかが分からないことが怖いんだと気付きました。私が上司から厳しいフィードバックを受けた場合は、「そういう見方もあるのか」と受け入れることを心がけています。でも、部下がすんなりとフィードバックを受け入れるとは限りませんよね。
–確かに、人は厳しいことを言われるとつい反抗心が出てしまうことがあります。
ネガティブフィードバックを受け取った部下が、私の意図せぬ行動を取るかもしれないという恐れを抱いていることに気付きました。
感情的になったり、、委縮したり、指摘事項を半ばやけくそで実行しようとして別の問題を引き起こしたり…
–考え出すとあらゆる悪いシナリオが出てきますね…
そうですね。でもコーチングで深堀した結果、私が最も恐れていたのは、部下が私に対して、不信感を抱くことだったんです。
ネガティブフィードバックをしたことで、「この人は自分を理解していない」と思ってしまうかもしれません。その結果、部下から幻滅されるんじゃないか。その恐怖心が非常に大きいことがわかりました。
ネガティブフィードバックの苦手意識の正体は人間不信だった
–どうしてそこまでの恐れを抱いてしまうんでしょうか?
まさにその点を小林コーチとの対話の中でじっくりと考えました。そして、私は部下のことを信じていないのではないかと思い始めました。
私は元々人のことを深く信じることが出来ていないと感じていました。自分がネガティブフィードバックを受けた時には、うまく消化して、エネルギーに変えられる。
でも、部下にはそれが出来ないかもしれないと思っていました。そして、その考えは自分の根源にある人間不信から来ていると分かったんです。
–澤田さんが部下へのフィードバックを恐れる原因は、澤田さん自身の人間不信だったということですね。どうして根源が人間不信だと気付けたのでしょうか?
言葉にしてコーチに話したのが効果があったように思います。普段は自分についてそこまで深く話すことはありません。自分のネガティブな部分となると尚更口をつぐんでしまいます。
また、考えを深堀する質問をコーチが的確に投げかけてくれます。その質問をきっかけに更に自分自身の考えを深めて、また声に出してコーチに話してみる。この繰り返しで人間不信という根源に辿り着けたと思います。
これをオートクライン効果と言います。頭の中で考えていたことを声に出して自分の耳で聞くことで、耳で聞いた情報を基に、また考えが深まります。また、コーチは答えは一切言いません。物事の根本に辿り着くような問いを投げかけて、その人の考えの深化を促すのがコーチの役割です。
人間不信を受容して生きていく
–私だったら、「自分が人間不信だから部下へのフィードバックが怖い」という事実はショックかもしれません…澤田さんはどう思いましたか?
私も人間不信を治さないと、と思いました。人を信じられるようになれば、「部下に幻滅されないか」という恐れが無くなり、ネガティブフィードバックへの抵抗感が薄れると思いました。しかし、心のどこかでは、長らく私の根源に脈々とある価値観を修正するのは、難しいのでは?と思っている自分もいました。
そんな時に小林コーチから「人間不信である自分を受け入れてあげてはどうですか?」と言われました。
–小林コーチからそう言われて、どう思いましたか?
目から鱗でした。自分のネガティブな部分を受け入れるというのは、私には無い視点でした。
いつもの自分であれば、自分の悪い点を修正するのに難航して、苦しんでいたと思います。しかし、小林コーチに言われて、人間不信の自分を受け入れることを心がけたところ、心が軽くなりました。初めて自分のネガティブな部分も受容してあげられた気がします。
–人間不信を受容した結果、何か変わりましたか?特に先ほどの部下の方に厳しいフィードバックを伝えるのに影響はありましたか?
自分を受容してあげられると自然と勇気が湧いてきました。また、恐れの正体がわかったので、部下へのフィードバック前に対策をすることができました。
このフィードバックをしたらAと言われるかもしれない。その場合はBと返答しよう。Cと言われるかもしれない。その場合はDと返答しよう。という感じで、フィードバックを行う前に想定問答を心の中で準備しました。すると心に余裕を持ってネガティブなフィードバックを部下に伝えることができました。
で、部下にネガティブフィードバックを伝えたら、拍子抜けするくらい何事もなく終わったんです(笑)自分が勝手に部下との間に壁を作って、身構えていただけだったんです。とはいえ、私の人間不信はこれからも続きます。だから、「私の人間不信な部分がこんな思いにさせるのかも」と考えられることで、随分生きていきやすくなる気がします。
おわりに
部下へのフィードバックという管理職ならではの問題から、人間不信という自分の根源に辿り着いたという、深いお話でした。そして、人間不信を修正するのではなく、受容するという視点に辿り着いたのも印象的でしたね。
自分の良い点も悪い点も受容して生きていく。ぜひこれを読んでいるあなたもコーチングを通じてそんな視点を持つことができれば、少し生きやすくなるかもしれません。
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澤田香奈さん(仮名)
44歳。欧州在住。配偶者と4歳の娘と暮らす。国内外の様々なエネルギー事業会社勤務や欧州MBA取得を経て、現在は日本のエネルギー事業会社の欧州支社代表を勤める。CoParentsにてコーチングを継続中。
小林 梓沙(澤田さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
国際コーチング運盟ICF認定アソシエイト・サーティファイド・コーチ(ACC)
大学卒業後、日系大手総合化学メーカーに就職。11年勤務した後、米国へMBA留学(2年間)。留学中にコーチングに出会い、留学中の心身共に最も辛かった時期を上手く乗り越えられた経験から、コーチングに興味を持つ。ついつい話してしまうような、ユーモアや笑いのある楽しく明るい雰囲気のコーチングが定評。