コーチングを活用して自己分析をし、自分らしい意思決定をすることができたワーママの山川理絵さんのインタビュー最終回です。この回では転職活動を終えてもなおコーチングを継続しているのはなぜかを伺いました。
また、山川さんはCoParentsでコーチングを受ける前は、コーチングという単語を聞いたことがありませんでした。第1回、第2回ではコーチングで何を得たかを中心にお話を伺いましたが、今回はコーチングを活用するという側面に着目してインタビューしました。
コーチングを活用しようか迷っている方や、コーチングのイメージが湧かない方は是非ご一読ください。
(山川さんへのインタビュー全3回の3回目です。)
※聞き手・古村千尋/CoParents代表
コーチングを活用して新しい職場に備える
–転職活動を終えてもなお、コーチングを継続して活用しているのはなぜですか?
自身の価値観が具体的になり、納得できる転職先を見つけられたので、目先の悩みはもう解消していました。しかし、新しい職場環境、初めてのフルリモートでの仕事・・・今後について不安がないわけではありませんでした。
そこで、今後の環境変化の中でも自分を保てるように、引き続きコーチングを活用することにしました。
–今は具体的にはコーチングで何をしていますか?
今後の環境変化の中でも自分のメンタルを維持したいと担当コーチのあずさんに伝えたところ、自分の長所を言語化することを勧められました。アーライの探求というそうです。
アーライはコーアクティブ・コーチングの用語です。前回の記事で「人生の目的」を到達点というより、「自分らしく生きる道」、つまり歩んでいくものと捉えるとお話しました。アーライとは、人生の目的を生きる、つまり「自分らしく生きる道を歩んでいく」ために有用な内側の「自分」です。
アーライを見つけて、場面場面に応じてアクセスできるようになれば、 「あなたが本当にチャレンジしたい思いや願い」に対して進みやすくなります。
理絵さんはフルリモートという未知の環境でうまくやっていけるのかと不安になっていました。そのため、理絵さんがアーライを見つけて、意図的にアクセスできるようになれば、どんな環境でも理絵さんらしく働けることにつながると思いました。
アーライを言語化し、グルーピングすることで、私を構成する強みがどんなものかを理解できました。この先困難な場面でも、「このアーライに積極的に出てきてもらおう!」と意識をして、強く進んでいける気がします。
–読者の皆さんにイメージが伝わるように、差し支えなければ理絵さんのアーライの具体例を教えていただけませんか?
例えば、「ドラえもん」というアーライがいます(笑) これは、私の情が深いという長所を表現しています。誰かの立場に立って、その人に感情移入して、一生懸命になれることは今後強みになるかと考えました。
あずさんとの対話と通じて、相手を気遣うことは新しい職場で人間関係を築くために大切だと再確認しました。特に最初からリモートだと人間関係を作るのが難しいと思うので、尚更です。
加えて、「経理のおばちゃん」というアーライもいます。これは私の自分に厳しく一生懸命コツコツ仕事をする部分を表現しています。しかし、「経理のおばちゃん」を前面に出し過ぎると、ちゃんとやらないと、という気持ちが勝ってしまって心のバランスが崩れる可能性もあります。そのため、転職先ではまずはドラえもんを意識して日々を過ごそうと思っています。
初めてのコーチングの感想
–では少し毛色を変えて、コーチングを活用する、受けることそのものについてお伺いします。そもそもなぜコーチングを受け始めたのですか?
コーチングが何なのか、受けたらどうなるのか当時は全くわかっていませんでした。それに特に悩みもありませんでした。ただ、CoParentsの「親である人を幸せにする」という方向性に共感したので、お試し感覚で受けてみることにしたんです。
—初回では自己理解の深堀をされたんですよね。初めてのコーチングの感想を教えて下さい。
そもそも自分のことを話すのが久しぶりだったので、新鮮でした。また、この時にコーチングとは自分を振り返る、自分のこれからを考えるものだと理解しました。また、コーチングのそのプロセスを通じて悩みを解決できそうだとも思いました。
初回の担当コーチのゆうたさんは男性です。実は私は男性と話すのがとても苦手なんです。でも全く問題ありませんでした。
人間関係を築くにあたっては、相手と自分の背景や価値観がマッチするかが大切だと思います。でもコーチと対話する際、コーチの育った環境や価値観が前面に出てくることはありません。コーチはあくまでも私のことを引き出そうという姿勢で接してくれるからです。
だから、ゆうたさんが男性であることや、私と全然違う環境で生活していることは、コーチングを受けるにあたって何の障壁にもなりませんでした。
コーチの選び方
–その後、小林梓沙コーチとも体験セッションを行い、現在は小林梓沙コーチとセッションを継続されていますよね。小林梓沙コーチにした理由を教えて下さい。
元々はゆうたさんとコーチングを継続する気満々でいました。しかし、ゆうたさんから、
コーチングは相性が合うかが本当に大切なんです。コーチング業界で大御所と言われるコーチが理絵さんに最適とも限りません。そのため、複数のコーチと話してみて、相性が1番合う人と継続するのが一番良い方法です
と、別のコーチとも体験セッションをすることを勧められました。
ゆうたさんに不満は全くなかったのですが、あずさんとも体験セッションをしてみることにしました。そして、あずさんとは何となく話のテンポみたいなものが合うなと思って継続することにしました。明確な理由があるわけではなく、フィーリングです(笑)。
ただ、私は然るべきコーチングのトレーニングを受けているコーチなら誰でも大丈夫ではないかと思います。先ほども話した通り、コーチがご自身の背景や価値観を前面に出すことはありません。また、どのコーチも専門トレーニングを通じて、受ける人の価値観を大事にし、話を引き出す姿勢を備えていると思います。
自分の悩みに応じて、コーチのプロフィールを見て、その分野が得意そうなコーチを選ぶというやり方もあるとは思います。ただ、その選び方はあまり意味がない気がします。
–子育てに悩みがあるから、パパさん、ママさんコーチにするとか、キャリアに悩みがあるから相応のキャリアのあるコーチにするみたいなことですよね。このような選び方はどうして意味がないのでしょうか?
コーチングを受ける人が自分の悩みを最初から完璧に言語化できないからです。私も話してみて初めて「私はこういうことで悩んでいるんだ」と気づくことが多かったです。
だから、最初から自分はこの分野で悩んでいると決めてかかるより、とりあえず日程の合うコーチ複数と話してみて、フィーリングで決めるというのが1番いい気がします。
CoParentsでは60分で2人のコーチと体験セッションができる「ハーフ&ハーフ」というコースがあります。忙しい中でも複数のコーチと相性チェックができますよ。
具体的なコーチングの活用方法
–その後は、転職活動に際して「自分が納得のできる意思決定の仕方を見つける」ことを目標に、セッションを 10 日 1 回のペースで3 回受けられました。なぜここまで集中してコーチングを受けようと思ったのですか︖
転職活動を進めるのに、できるだけ短期間で自己理解を深めたかったからです。
あずさんとの最初のセッションの最後に、今後どの程度の頻度で受けたら良いか相談しました。あずさん曰く、その人の置かれている状況や悩みによっては、セッションの間隔をあけて受けた方が良いケースもあるそうです。しかし、私が転職活動をしていることや、意思決定の軸を上手く見出せないことに鑑みて、短めのスパンでの受講を勧められました。
コーチングでは、セッションでの気づきをご本人が実際に行動に起こすことで、ご本人の本質的な変化を促します。そのため、毎回のセッションの最後には、ほぼ必ず具体的なアクション決めます。そのアクションによっては、ある程度時間を要するものも出てきます。(例:仕事に関して、「1~2か月後の会議でこれを提案する!」と行動に決めた場合)
一方で、理絵さんのコーチングの目的は自分自身を掘り下げることだったので、あまり間を置かずに自己理解を進める方が合っているだろうと思いました。
私は人見知りなので、初対面のあずさんに素直に受講頻度を相談し、その提案を受け入れられたことに自分でも驚きました。初回でそれだけの信頼関係を築けたということです。コーチとしてのあずさんの実力ですね。
–短いスパンで多くのセッションを受けるということは、お金がかかります。お金がかかる提案を問題なく受け入れるというのは確かにハードルの高いことですよね。
あずさんの前にゆうたさんのコーチングを受けていたことも影響していると思います。既にコーチングは怪しいものではないとわかっていました。それに、コーチは自分の話を本当に真摯に聞いてくれることもわかっていました。
自分の利益のためではなく、私を思っての提案だとすぐにわかったので、時間を捻出して詰めて受けました。大正解でしたね。(理絵さんが詰めてコーチングを受けたことで、転職活動で自分らしい選択ができた話は前回のインタビューをご覧ください)
–コーチングを受ける際に留意していることはありますか︖
コーチの声かけを素直に聞くように心がけています。
また、自身の心の動きについてメモを取るのはお勧めです。私はコーチングのセッション中は話に集中して、セッション終了後にセッション中に感じたことを書き留めています。
コーチングを受けている期間はセッション中以外でも、これまでにないほど自分の心が敏感になります。そのため、私は家のリビングにノート1冊とペンを出しておいて、心の動きがあればメモをするようにしていました。
実はコーチングを始める前にも、心の動きをメモするのにチャレンジしたことはありました。でも、自分の心の動きがわからなかったので、上手く書くことができずに、ただの日記帳になってしまいました。
でも、コーチングを受けることで、自分の心の動きがわかるようになりました。書き溜めたメモを、セッションを受ける前にパラパラっと眺めて、前回のセッション以降の心の動きを復習してからセッションを受けるようにしています。
このノートに書いてあることは全部自分の心の動きです。ある意味で本当の自分であり、味方だと思っています。何かに悩んだときも、このノートを見れば自分の判断軸を思い出せます。このノートは私のお守りになっていますね。コーチングを受けていないとこのお守りノートもできなかったので、コーチングってすごいなと思っています。
–コーチの声掛けに素直になるのが大事ということでしたが、素直になるのが難しい時や、セッション中に心地よくない指摘をされたことはありましたか?
セッション中に嫌だと思う瞬間は一度もありませんでした。
一方で、そんな質問されてもわからない!と戸惑ったことはありました。戸惑うのは自分がうまく言語化できないことを問われた時です。でも、うまく言えない時は、素直にわからないとコーチに伝えることが大切です。うまく言えないことは、今まで自分が考えられていなかったことです。だから、無視したり、ごまかしたりせずに向き合う必要があります。
素直にわからないと伝えると、コーチは質問の仕方を変えるなど工夫してくれます。すると、わからないなりに言葉がぽつりぽつりと出てきて、自分の新たな一面や隠された思いに気づくことができます。
あとは、気づかないところに気づかせてもらって、泣きそうになるみたいなことはありました。この歳で人前で泣きそうになるなんて、とても恥ずかしかったです。でも、恥ずかしくても斜に構えたりせずに素直に話せるのは、コーチの実力だと思います。
ちょっと泣きそうになった時に「あーごめんなさい!」みたいにされると、こっちも余計に恥ずかしくなっちゃうってことはありませんか?コーチはそんなことはせず、自然に話し続けてくれるので、気持ちが込み上げた時も素直に会話を続けることができました。
–今後はどのような頻度・タイミングでコーチングを活用するつもりですか?
3ヶ月後に転職先での勤務を開始するので、それまでは月1回のペースで受けようと思っています。転職先はフルリモートです。自分の強みをより知ることで、今後リモート勤務で気持ちが落ちることがあっても、自分の強みを生かして乗り切っていけるように準備したいです。
詰めて受講するのは一旦これで終わりにするつもりです。しかし、週1回や月1回でも自分のことを話すのは心の整理になると思っています。転職先でリモート勤務を始めてモヤモヤし始めたら、その時はまたコーチングを受けて心を整えていきたいです。
コーチングを活用してほしい人
–コーチングを上手く活用されている理絵さんがコーチングを勧めるとしたら、どんな人に勧めますか?
私がコーチングをお勧めしたいのはこんな方です。
コーチングを勧めたい人
- 日々なんとなくモヤモヤしている人
- そのモヤモヤをどう解消してよいかわからなかったり、解消することを諦めている人
- 自信を失っている人
自分の心の整理をするだけでも見える世界が変わってきます。あまり構えずに気軽に体験セッションを受けてみるとこの良さがわかってもらえるはず。
今の会社でも、モヤモヤしているお母さんがたくさんいます。「子育てと仕事の両立がしんどくて、家で泣いてしまった」という同世代の同僚。子育てのために一度退職して再就職し、能力的にも人間的にも素晴らしいのに、ふさわしい処遇が与えられず、「もう歳だし、仕方ないよね」と伏し目がちになっている50代の方…
具体的な解決策につながるかどうかはわかりませんが、コーチングを受けて、自分の長所や価値観に気づき、少しでも自信をもって過ごせる人が増えたらいいなと思います。
あとは、コーチングの重要性に気づいて、人事施策として導入してくれる企業が増えるといいなと思います。
人生を充実させるためにコーチングを活用しよう
コーチングを活用して転職を成功させ、日々前向きに過ごしている理絵さんのインタビューを、全3回に亘って取り上げました。コーチングという存在すら知らなかった理絵さんは、今もコーチングを活用して日々を自分らしく生きています。
私(代表・古村)個人は、一般化はできないものの、ワーママとコーチングは親和性があるという仮説を持っています。言語化できないモヤモヤを抱えているワーママでコーチングを知らない方にこそ、CoParentsのコーチングを届けたいと考えています。
毎日忙しくてコーチングなんてやっている時間はない!と思われるかもしれません。ですが、後々心身のバランスを崩すことのないよう、後悔しないよう、ぜひ一度コーチングに時間を割いていただけたら嬉しいです。お気軽に体験コーチングをお試しください。
山川理絵さん(仮名)
36歳。地方都市在住。配偶者と6歳の息子と暮らす。現在は大企業で経理に従事。転職活動を経て、年明けよりスタートアップ企業でリモート勤務を開始予定。CoParentsにてコーチングを継続中。1回目のインタビューはこちら。2回目のインタビューはこちら。
小林 梓沙(山川さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
国際コーチング運盟ICF認定アソシエイト・サーティファイド・コーチ(ACC)
大学卒業後、日系大手総合化学メーカーに就職。11年勤務した後、米国へMBA留学(2年間)。留学中にコーチングに出会い、留学中の心身共に最も辛かった時期を上手く乗り越えられた経験から、コーチングに興味を持つ。ついつい話してしまうような、ユーモアや笑いのある楽しく明るい雰囲気のコーチングが定評。
松本 裕太(最初の山川さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
大学卒業後、日系大手化学メーカーにて、財務・事業企画・営業を経験し、15年間勤務。
現在は、コーチングを提供しながら、企業研修・パパママ向けワークショップファシリテーター等々、多方面に活動中。
適応障害や不妊治療を経験し、約10年間一人で問題を抱える日々を過ごす中で、パートナーにも言えないようなパーソナルな問題を誰かに聞いてもらうことの重要性や共に未来を考えてくれる人の有難さを痛感し、コーチングを待っている人がたくさん居るはずだ!との想いから、コーチングに従事。
誰しも「人生の主人公」としてイキイキと自分の人生を歩ける可能性を言じ、共に前に進んでいきたいと思うと同時に上手くいかない時・苦しい時に、ポロっと本音が出せる家のような存在で在ることを目指す。