キャリアアップや昇進について悩んでいるワーキングマザーの方は多いのではないでしょうか?キャリアアップの悩みは千差万別です。仕事と家庭を両立する中で、ご自身がどの程度キャリアアップしたいかがわからない方もいるでしょう。キャリアアップしたいけど、どうしたら実現できるか悩んでいる方もいるでしょう。
5歳の女の子を育てる真田詩織さん(36歳・仮名)は、キャリアアップを望む一方、昇進に踏み切れない矛盾した気持ちを抱えていました。
真田さんがCoParentsのコーチングを通じて、どのようにキャリアアップと昇進についての悩みに向き合ったのかをお伺いしました。(真田さんへのインタビュー全3回の2回目です。)
※聞き手・古村千尋/CoParents代表
初めて気づいたキャリアアップに対する本音
–2回目のコーチングの際にキャリアアップに関する話をされたそうですね。
転職先の半期人事評価を受けて、改めて自分の状況や考えを整理したいと思いました。
半期人事評価では、転職先への入社時に立てた1年間の目標に対する進捗を上司と共に確認しました。50%くらいの進捗で、このまま行けば半年後には目標を達成し、1つ上の等級に昇進できる見通しだという評価でした。
上司からは「このまま頑張ればいいね」という前向きな評価を頂きました。しかし、私は少し違うように考えていました。既に目標を50%以上達成している気がしたんですね。何なら半年後を待たずして、昇進にチャレンジできるのでは?とまで思いました。
でも、キャリアアップの希望を上司に伝える気持ちの準備はできていませんでした。この矛盾した気持ちは一体何なんだろうと思い、頭の整理をしたいと担当コーチの裕太さんに伝えました。
–キャリアアップしたい、でも前倒しでの昇進を打診する勇気はない。複雑なお気持ちだったんですね。コーチとは具体的にどのような話をしましたか?
裕太さんと対話をしながら、「なぜ上司に昇進を目指したいと伝えるのに抵抗があるのか」という点を掘り下げました。最初はまだ目標を100%達成していない段階で昇進にチャレンジしようとするのは変かもしれない、と思う気持ちがあるからだと思っていました。
私は今、直接の上司の業務の報告をしています。そして、私の上司が経営幹部に報告するという関係になっています。もし昇進したら、直接私が経営幹部に業務報告をすることになります。上司が私と経営幹部の間に入って、私の業務上の成果物を確認・修正することで、品質を担保してくれています。
セッションで今の私が昇進した姿を思い浮かべたのですが、自分で「まだ違う」と感じていることに気づきました。そして、「私一人で上司が確認・修正したのと同等の品質を出せると証明できてから昇進したい」という本音に初めて気づくことができました。自分の本音って意外と気づきにくいものです。
–キャリアアップが先か、スキルアップが先か、ということですね。
そうですね。前職のコンサルティング企業では、まずはキャリアアップ、そしてスキルアップ、という考え方が大事にされていました。上に上がらないと見えないものがあるという哲学で、積極的に手を挙げて昇進にチャレンジした人が評価されていました。今回気づいた「昇進するのに妥当な人間になってから昇進したい」という私の本当の望みとは逆ですね。
コンサル時代の哲学も一理あるし、キャリアアップするには大事な考え方だと思います。どちらの考え方が正しい、間違っているという話ではなく、どちらの考え方がしっくりくるのか、自分で決めるのがいいなと思います。
キャリアアップに不可欠なマネジメント層との関係とは
–真田さんのキャリアアップに対する本当の望みである「昇進するのに妥当な人間になる」というのは、具体的にどういうことでしょうか?
やはり、上司チェックが入ったのと同じくらい質の高い仕事を自力でしたいです。加えて、経営幹部との関係性も変える必要があると考えています。
私の成果物の品質が多少悪くても、経営幹部と直接議論して改善する道筋もあると思います。しかし、それはちょっと難しいなと感じました。なぜなら、セッション中に経営幹部とざっくばらんに議論できるような関係がまだできていないことに気づいたからです。
–確かにキャリアアップするにつれて、マネジメント層とのあるべき関係性も変化します。真田さんは経営幹部とどのような関係になりたいのでしょうか?
裕太さんのリードの下、経営幹部との関係性についてじっくり考えてみました。まず、右手が私、左手が経営幹部で、今の関係性を手の位置関係と、向きで表現してみるというのをやりました。やってみると、右手と左手の距離が上下にも左右にも離れていました。また、手の向きですが、右手(私)の手のひらは、左の経営幹部の方を向いています。他方で、左手(経営幹部)の手のひらは、会社の成長を一身に背負って上を向いています。
次に、もし昇進するなら、経営幹部とどういう関係になりたいかを、同じように表現してみました。まずは上下左右の距離が近づく。そして、今の関係では右手の私は左手の経営幹部を見ていましたが、経営幹部と同じ、上の方向を見られるようになるべきだと。経営幹部と同じビジョンを持っている状態に成長してから、次のステージに上がるべきだなと思ったんです。
ここでやったのは体現と可視化です!なんとなく思っていることを違う形で表現して、目に見える形にすると、ギャップに気付いたり、考えが深まったりします!
キャリアアップのために素直になる
–キャリアアップに対するご自身の考え方や課題にじっくり向き合えたようで嬉しいです。2回目のセッション後はご自身に変化はありましたか?
大きな変化がありました。昇進に関する自分の本当の願いを紐解けたことで、ありのままの自分で働けるようになりました。
それまでは「今のポジションに見合う働きをしないと」「成長しないと」ということに囚われ過ぎて緊張してしまっていたんです。そのため、本来の自分の力を発揮することができていなかったと思います。
しかし、2回目のセッションの後は、本来の自分の姿で仕事をすることを少し楽しめるようになりました。
–責任感が強い真田さんだからこそ、緊張されていたように思います。具体的に仕事の仕方に変化はありましたか?
今までは上司に相談するときに、自分にできていないことを上司に隠してしまっていました。「自分に期待されているレベルを満たしていることを示さないと」という気持ちがあったからです。だから上司も私の本当の姿が見えづらく、どうアドバイスしたらよいのか困ることもあったかもしれません。
でも今は、わからないことをさらけ出して質問したり、どう思われるかを気にせずに率直に意見をぶつけてフィードバックを求めることができるようになりました。上司からのフィードバックもよりストレートに、自分のスキルアップに資するものになりました。素直に上司と話せるようになったことで、以前よりコミュニケーションが円滑になっている気がします。
私の変化は、社内のコミュニケーションツールを通して、経営幹部の目にも留まっていたようです。そのため、経営幹部からも直接、具体的な私の改善策をフィードバックしてもらえるようになりました。おかげで、昇進に向けて、どの強みを伸ばし、どの弱みを改善していくかが明確になりました。
キャリアアップの正解は人それぞれ
今回は真田さんが人事評価をきっかけに、ご自身のキャリアアップに対する本音に向き合う様子をお伺いしました。真田さんは「妥当なスキルレベルになったことを確認してから昇進したい」という本音でした。一方で、インタビューでも言及があった「先に昇進してからスキルアップしていく」という考え方も然りです。
そもそもキャリアアップに対して、どの程度の野心を抱くかの答えも人によって違うのが当然です。大切なことはどのようなキャリアアップが最も幸せなのか、自分の答えをきちんと見つけることです。キャリアアップに対する思いが定まっていないと、転職や異動希望、働き方の変更などの意思決定で失敗する可能性が高くなるでしょう。
CoParentsではコーチングを通じて、親である方が自分らしく生きるお手伝いをしています。キャリアにどう向き合うべきか悩んだ際は、ぜひお気軽に初回の体験コーチングをお試しください!
松本 裕太(真田さん担当コーチ)
CTIジャパン/米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)
大学卒業後、日系大手化学メーカーにて、財務・事業企画・営業を経験し、15年間勤務。
現在は、コーチングを提供しながら、企業研修・パパママ向けワークショップファシリテーター等々、多方面に活動中。
適応障害や不妊治療を経験し、約10年間一人で問題を抱える日々を過ごす中で、パートナーにも言えないようなパーソナルな問題を誰かに聞いてもらうことの重要性や共に未来を考えてくれる人の有難さを痛感し、コーチングを待っている人がたくさん居るはずだ!との想いから、コーチングに従事。
誰しも「人生の主人公」としてイキイキと自分の人生を歩ける可能性を言じ、共に前に進んでいきたいと思うと同時に上手くいかない時・苦しい時に、ポロっと本音が出せる家のような存在で在ることを目指す。