【イベントレポート】女性にはストッパーが多い!女性のキャリア自律のリアル

育休明けに配置された仕事は、自分には全然向いていないものだった。

夫のワークスタイルは産後も変わらず、ワンオペで家事・育児・仕事をすべて回す毎日。

管理職を見渡しても、女性はほとんどいない。

「長く働けるイメージが、持てない」

そんな経験をしたことがある方、いませんか?

今回のCoParentsオンラインイベントのテーマは、「女性の負担が大きい社会での私たちのキャリア自律」。ゲストは、2025年からフリーランスのコーチとして活動する、CoParents所属の鶴谷愛子(つるたに あいこ)コーチです。

ワンオペ育児、つまらない仕事への配置、管理職は男性ばかりの職場……たくさんの「これでもか」を経験してきた愛子さん。

自称「石橋を100回叩いて渡るタイプ」の愛子さんが、なぜ次の会社も決まっていないまま会社員をやめたのか。自分の本音と向き合い、キャリアを切り拓いてきた道のりを、たっぷりと語っていただきました。

フリーランス転向を検討している方だけではなく、会社員ワーママさんにも、そのキャリアの切り拓き方は参考になるポイントが多いです!

【登壇者プロフィール】

ゲスト:鶴谷 愛子(つるたに あいこ)

CoParents所属プロコーチ/国家資格キャリアコンサルタント。8歳と5歳の娘2人の母。3社を経験し、うち2社目の人材会社に約17年在籍。2025年よりフリーランスのコーチとして独立・活動中。

ワーママ向けコーチングCoParents代表 古村千尋

モデレーター:古村 千尋(こむら ちひろ)

CoParents代表。政府系金融機関、国際機関、エネルギー分野のベンチャー企業の勤務を経て、Wharton MBAに進学・卒業。4歳息子の母。

目次

10代から芽生えた問題意識。「なぜ一般職は女性だけなの?」

古村: 今日のテーマは「女性の負担が大きい社会」という言葉から始まっています。愛子さんには、元々このテーマへの問題意識があったんですよね。どんなところから来ているんですか? 

愛子: 子供を産んでから負担をより感じるようになりましたが、実は10代の頃から女性の社会における立場の不平等さにはアンテナが立っていたんです。

背景には母親の影響が大きいと思っています。私の母は画家でした。専業主婦が多かった時代に、母は自分の表現を仕事にして収入も得ていました。だから私の中で、「女性も自分らしく自由に働けるんだ」というイメージが自然についていたんですね。

でも大人になるにつれて、それが珍しいことだとわかってきました。

就活では第一希望の人材業界を逃して、金融機関に一般職で入社しました。そこで違和感を覚えました。一般職は全員女性で、総合職のアシスタント的な役割。同じようなレベルの大学を出ているのに、なぜ総合職と一般職に分けられ、一般職は女性だけなのか。モヤモヤとした問題意識がより強まりました。

古村: その後、念願の人材会社に転職されたんですよね。

愛子: はい。その人材会社では男女平等で、成果を出せばジェンダーに関係なく認めてもらえる環境でした。でもキャリアを重ねるうちに、体力的に厳しさを感じてきました。当時は終電帰りも普通にあって、20代後半になると結婚・出産を考えた時に「長く働けるイメージが持てない」という壁にも当たりました。管理職を見渡しても女性がほとんどいない。「私はどうなるんだろう」と悩みましたね。

典型的なワンオペ、つまらない仕事。でもキャリアを続けることは迷わなかった

古村: そして出産・育休を経て復帰されるわけですが、当時の状況はどうでしたか?

愛子: 典型的なワンオペでした。夫は朝から晩までいないし、月の半分は土曜もいない。夫のそのワークスタイルは出産後も変わらない。テレワークも当然なかった時代なので、時短で復職して、家事・育児・仕事を1人ですべて回していました。もういっぱいいっぱいで、「全部の負担が自分に来た」という感覚でしたね。

しかも、1回目の育休明けに配属されたのがシステム構築の仕事で。「めちゃくちゃつまんなくて、全然向いていないな」と思って(笑)。上司に正直に伝えて、元々いた研修部門に戻してもらいました。

古村: 仕事はつまらない、家もパンパン、という状況ですね。でもそこで仕事をやめようとは思わなかった?

愛子: そこは迷いがなかったです。仕事が大好きで、仕事は自己表現のひとつという感覚が自分の中にあって。自分の人生を生きている姿を子供にも見せたかった。だから、キャリアを続けることは選択肢として最初からありました。

その前提で「じゃあどうするか」を考えたんです。つまらない仕事で毎日を消耗しているのに気づいて、他の選択肢を探り始めました。

「コーチングをやらないという選択肢はあるの?」の問いで、先延ばしが終わった

古村: 2人目の育休復帰後から、自分らしいキャリアに向けて具体的に動き始めたんですよね。

愛子: 先輩をランチに誘って「こういうことにモヤモヤしているんですが」と話を聞いてもらったり、他部署の業務内容を教えてもらい、どの仕事だとやりがいを感じられそうかを検討しました。並行して、20代の頃から興味のあったコーチングへの学びも検討し始めて、スクールの説明会に行ったり、ほぼボランティアのような形でセッションをやらせてもらったりしていました。

でも、なかなかコーチングの学びに本格的に踏み出せていなかんです。

転機になったのは、コーチングを学び始めたばかりの友人にコーチングセッションをしてもらったとき。「コーチングをやらないという選択肢はあるの?」と問われて、「それはない」と気づいたんです。死ぬまでにコーチングを学ばずに終わるのはありえない。そうわかったら、先延ばしにしている理由がなくなって。

古村: 極論を考えて、自分の本音を確認したわけですね。

愛子: そうですね。そこから夫に「このスクールで学びたい。これくらい時間とお金が必要」ときちんと話をして、動き出しました。

「異動したい」ではなく、「自分はこういう人間です」と発信し続けた

古村: 2人目の育休明けにコーチングを学び始めただけではなく、本業でも希望の部署に戻れたそうですね。日本の会社で異動希望が通るって、なかなか難しいですよね。何か工夫されていたんですか?

愛子: 振り返ると、「異動したい」という直接の希望よりも、自分のやりたいことや強み、関心を積極的に上司に共有し続けていたことが大きかったと思います。「営業の中でこういうところが面白いと感じている」「自分はこういうことを大切にしている」というのをこまめに話していました。

社内でダイバーシティのプロジェクトを立ち上げたこともあります。「女性が長く働けない」という課題を感じて、それを社内で訴えてみようと動き始めたら、執行役員クラスの方が見てくれていて、人事に引き上げてもらうことにつながりました。

古村: 「異動したい」じゃなくて、「私はこういう人間です」と発信し続けることが大事ということですね。

愛子: そうですね。会社としても、やりたがっている人をアサインした方が情熱を持ってやってくれるのは明らかじゃないですか。だから発信し続けることに意味があると思っています。

Q&A:「なんでそんなにやりたいの?」と言われたら

古村:参加者の方からこんなコメントをいただいています。「仕事がしたいという思いを伝えても、『楽できるならいいじゃん』『なんでそんなに働きたいの?』と言われることが多くありました。最初はモヤモヤしました。」地方の職場など、まだそういった文化が残っている場所もあるようです。愛子さんはこういった「ストッパー」に出会った時、どう向き合ってきましたか?

愛子: そのような反応をする方は、実は話し手に対して怖がっているなど、話し手の本音をそのまま受け取れない状態にあるのかもしれないと思っています。だから、それは相手側の問題として捉えて、切り替えていくのがいいんじゃないかなと。

行動を止めてしまうのはもったいない。続けることが大事だと思います。

古村:例えばご質問頂いた方のケースだと、相手に「自分より出世したら嫌だなぁ…」と思われていたりとかですかね?自分の問題ではなく、相手の問題かもしれないと思うことで、自分を守りながら発信し続けられますよね。

家族のせいにしたくないから、自分のやりたいことを曲げなかった

古村: 愛子さんはコーチングの学びが進む中で、最終的に会社員をやめるという決断をされますよね。でも子供もいる中でそんな危ないチャレンジするの?とか、家族や世間からのストッパーはいくらでもあったと思うんです。そこはどう向き合いましたか?

愛子: 一番怖かったのは、コーチングをやれない理由を家族のせいにしてしまうことでした。「子供がいるから無理」「夫が忙しいから無理」って言ってしまうのが、一番子供にとっても自分にとっても辛いことだと思ったんです。別に我が子は私にやりたいことを諦めろなんて頼んでいないですから(笑)。

だから、家族の理解を少しずつ得ながら、自分のやりたいことは曲げないでいこうと決めました。自分の人生を生きている姿を子供に見せたい、という思いを夫にも共有しました。

また、フリーランスになることで、収入は一時的に減るとわかっていながらも、子供との時間に「心のゆとり」を作りたかった。時短でも、次のタスクに追われて子供の表情をゆっくり見られない毎日に、豊かさを感じられなくなっていたので。長いタイムラインの中で、「今、何を優先すべきか」を判断した結果です。

石橋を100回叩いて渡るタイプが、次の会社も決まらないまま独立した理由

古村: 最終的に、次の会社が決まっていない状態で会社員をやめたとのことで、びっくりしました(笑)。愛子さんって結構チャレンジャー気質ですね。

愛子: 実は全然そういうタイプじゃないんです(笑)。石橋を100回ぐらい叩いて渡るタイプで、だからコーチングに20代で興味を持っていながら本格的に学び始めたのが30代後半になってしまった。ずっとリスク回避型の行動パターンだったんです。

コーチングを学ぶ中で、そのパターンに気づいて「もうリスク回避はいいかな」と思いました。先を準備して万全な状態になってから踏み出すのではなく、今やりたいことに全力でエネルギーを注ぐことを一度やってみたい、という本音に気づいたんです。

そこからが早くて、次の会社も決まっていない、フリーランスでどうやって生計を立てるかもわからない状況で会社員をやめる。周りから「え?!」と言われる選択でしたが、自分の本音に正直に動きました。

自分の本音がわからない人の、最初の一歩は?

古村: 愛子さんのように「やりたいことがある」状態ならいいのですが、「そもそも自分の本音がわからない」という方もいると思うんです。自分のやりたいことを知るために、何から始めたらいいでしょうか?

愛子: その問題、私も人ごとではなくて。コーチングを受け始めるまで、自分の本音だと思っていたものが、実は「他人の理想像」や「社会の正解」だったということに気づいたんです。情報があふれる中で、「ベストな選択肢はこれ」というのを選び続けているうちに、自分の本音がわからなくなっていたんですよね。

だから最初の一歩としては、キャリアのような大きなテーマではなく、日常の小さな選択から始めることをおすすめします。

たとえば「今日のお昼ご飯、何食べたい?」。カロリーとか、ヘルシーさとか、外からの情報は一旦置いといて、「私が今本当に食べたいものは何か」を問う。洋服を選ぶときも、「どう見られるか」ではなく、「自分が好きなのはどれか」を感じてみる。

そういう小さな積み重ねで、だんだん自分の声が聞こえるようになってきます。

古村: キャリアって大きすぎるテーマだから、まず日々の選択から自分を観察するって、取り組みやすいですね。参加者の方からも「自分がどんなタイプか、よく観察したい」というコメントをいただいています。まさにそこがすべてのスタートポイントですよね。

Q&A:在宅ワークとキャリア、どう考えたらいい?

古村: もう一つ参加者の方からの声です。「コロナ禍でオフィスに行けなくなって、信頼できるメンバーとチームワークで仕事することに楽しさとやりがいを感じるタイプだと気づきました。在宅でも仕事の環境が整っているのですが、このまま続けることに最近違和感を感じています。子供に『おかえり』と言いたい気持ちもあり、キャリアに悩んでいます」とのことです。

愛子: 私は在宅での仕事がとても好きなので、個人差がありますよね(笑)。

ただ、気になったのは「チームワークが好きなのに職場でそれが感じられない」という部分です。私が最後に勤めた会社も週2出社で、正直チーム感が全然なくて、会社員なのに孤独だったんです。

フリーランスになってから、むしろ孤独を全く感じなくなりました。熱量の高い方と繋がって、一緒に何か生み出そうという話がどんどん生まれてきて。

もしかしたら「在宅か出社か」ではなく、「仕事の仕方とチーム感のバランス」が今のモヤモヤの本質かもしれません。自分がどんな働き方の中でやりがいを感じるのかを掘り下げてみると、答えが見えてくるかもしれないですよ。

Q&A:小1の壁、どう乗り越えた?

古村: ワーママにとって切実な「小1の壁」について質問をいただいています。ワンオペで小学校入学のタイミングはどう対策されましたか?

愛子: 実は最後の転職のタイミングが、娘が小学1年生に上がる年だったんです。めちゃくちゃ迷いました。でも人材会社にいたので、求人が年明けに増えることを把握していました。だから、年明けから転職活動して、4月には娘が小1になるので5月入社を目指しました。ちょうど5月入社が決まって、4月はまるまる有給休暇を取って、娘と一緒に小1のスタートをクリアしました。

古村: 4月の最初の1ヶ月を乗り越えれば、後はなんとかなる、という感じでしたか?

愛子: 私の印象では、壁の9割は最初の1ヶ月にある感じです。発達に関わらず、環境がガラッと変わるので、子どもの変化や様子をしっかり見られる状態でいたかった。だから最初の1ヶ月は自分に余白を作りたかったですね。

古村: 会社員の方には有給をまとめて取るのはハードルが高いかもしれないですが、「4月は少し残業を減らす」「休める日は積極的に休む」くらいでも、子供にとって大きな違いになりそうですね。会社に相談しても有給が取れる保証はないですが、会社に言わないと100%有給は取れないので、ダメもとでも希望を言ってみるのが大事だと思います。

おわりに

今日の愛子さんのお話を通じて、私が改めて感じたのは「自分を知っていること」の強さです。

やりたいことが見えているから、上司に発信できる。自分の本音に気づいているから、ストッパーに出会っても、それは自分の問題じゃないと切り替えられる。長いタイムラインの中で、今何を優先すべきかを判断できる。

そのすべての土台に「自己理解」があります。

愛子さんも、石橋を叩き続けてきた人でした。「完璧な準備ができてから」と先延ばしにしてきた人でした。それでも最後は、自分の本音に正直に、まだ見ぬ世界に飛び込んだ。

もし今、自分のやりたいことを先延ばしにしているとしたら、一度だけ自分に問いかけてみてください。「それをやらないという選択肢は、本当にあるの?」と。

CoParentsには愛子さんのようなプロコーチが在籍しています。女性としての、母としての様々な制約ばかりを感じて、本当にしたいこと、自分の本音が何かわからないという方は、ぜひ体験コーチングをご検討ください。

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この記事を書いた人

仕事と子育ての両立や今後のキャリアに悩みを抱えるワーママをコーチングでサポートする会社。コーチング予約累計数780時間。

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